【民法総則入門2】法律行為の基礎と心裡留保(93条)完全攻略ロードマップ

監修者
講師 赤坂けい
株式会社ヨビワン
講師 赤坂けい
【民法総則入門2】法律行為の基礎と心裡留保(93条)完全攻略ロードマップ
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この記事を読んで理解できること
  • 民法における法律行為とは
  • 意思表示の4要素と意思の不存在
  • 心裡留保とは、民法93条の定義・要件・効果
  • 心裡留保と類似規定の比較

この記事は、

「民法入門として法律行為・心裡留保を理解したい」

「心裡留保と虚偽表示や錯誤との違いを整理したい」 

という方におすすめです。 

民法の入門として民法総則の学習を始めると、最初に壁となるのが「法律行為」と「意思表示」です。

民法では、売買契約、贈与、取消し、解除、遺言など、さまざまな場面で人の意思が法律効果を発生させます。

そのため、法律行為と意思表示の基本構造を理解していないと、民法全体が分かりにくくなってしまいます。

その中でも、心裡留保は「本当はそんなつもりがないのに、あえて違う意思表示をした場合」にどう処理するかを定めた重要な規定です。

日常感覚では「冗談だった」「本気ではなかった」と言いたくなる場面でも、民法上は相手方の信頼や取引安全を考慮して、原則として表示どおりの効力を認めています。

本記事では、法律行為の基礎から、意思表示の4要素、心裡留保の要件・効果、さらに虚偽表示・錯誤との違いまで、民法入門段階の初学者にも分かりやすく体系的に解説します。

具体的には、

1章では、民法における法律行為の意味について

2章では、意思表示の4要素と意思の不存在について

3章では、心裡留保(民法93条)の定義・要件・効果について

4章では、心裡留保と類似規定の比較について

をそれぞれ詳しく解説します。

この記事を読んで、法律行為の基礎と心裡留保の内容について、理解を深めていきましょう。

1章:民法における法律行為とは

民法総則を理解するうえで、まず押さえるべき概念が「法律行為」です。

法律行為は、民法全体の土台となる概念であり、契約、取消し、解除、遺言など、多くの制度を理解する前提になります。

ここを曖昧にしたまま学習を進めると、意思表示の無効・取消しや、代理・時効・条件といった分野で混乱しやすくなってしまいます。

そこで本章では、法律行為とは何か、どのような種類があるのか、なぜ意思表示がその中心にあるのかを整理します。 

1-1:意思表示に基づいて法律効果を発生させる行為

法律行為とは、簡単にいえば、当事者の意思表示に基づいて法律効果を発生させる行為です。

ここでいう法律効果とは、権利や義務が発生したり、変更されたり、消滅したりすることです。

例えば、ABに対して「この本を1000円で売ります」と言い、Bが「買います」と答えれば、売買契約が成立します。

この契約によって、Aには本を引き渡す義務が発生し、Bには代金を支払う義務が発生します。

さらに、所有権も移転します。

このように、当事者の意思表示によって法律上の効果が発生する点に、法律行為の本質があります。

ここで重要なのは、法律行為は単なる事実行為とは異なるという点です。

例えば、道を歩く、物を壊す、雨が降るといった事実は、それ自体が当事者の望んだ法律効果を当然に生じさせるものではありません。

これに対して、契約をする、解除する、遺言をするなどの行為は、当事者が一定の法律効果を発生させる意思をもって行うため、法律行為として扱われます。

つまり、法律行為の中心には「人の意思」があります。

民法は、私的自治の原則を前提として、個人が自分の意思に基づいて法律関係を形成することを認めています。

売買をするか、贈与をするか、契約を解除するかといった判断は、原則として本人の自由に委ねられています。

もっとも、意思があるだけでは法律行為は成立しません。

心の中で「売りたい」と思っているだけでは、相手方には伝わりません。 

法律効果を発生させるためには、その意思が外部に表示される必要があります。

この外部に表れた意思が「意思表示」です。

したがって、法律行為を理解するためには、意思表示の構造を理解することが不可欠になります。

1-2:法律行為の3分類|契約・単独行為・合同行為

法律行為は、意思表示の数や方向性によって、以下の3つに分類されます。

  • 契約
  • 単独行為
  • 合同行為

まず、契約とは、複数の当事者の意思表示が合致することによって成立する法律行為です。

売買契約、賃貸借契約、請負契約、委任契約などが典型例です。

売買契約であれば、売主の「売ります」という意思表示と、買主の「買います」という意思表示が合致することで契約が成立します。

契約は、民法上最も重要な法律行為であり、債権法でも中心をなす概念です。

次に、単独行為とは、一人の意思表示だけで法律効果が発生する法律行為です。

例えば、取消し、解除、追認、遺言などがこれにあたります。

契約と異なり、相手方の承諾を必要とせず、一方的な意思表示によって法律効果が生じる点に特徴があります。

ただし、単独行為は相手方に大きな影響を与えることがあるため、法律上の要件や方法が厳格に定められている場合もあります。

さらに、合同行為とは、複数人が同じ方向に向かって意思表示をすることで成立する法律行為です。

典型例としては、法人の設立行為が挙げられます。

契約では当事者の意思が対立方向に向かうのに対し、合同行為では複数人の意思が同じ目的に向かって結合する点に特徴があります。

この3分類を理解することで、法律行為が単なる「契約」だけではないことが分かります。

民法では、さまざまな意思表示が法律効果を発生させるため、それぞれの性質に応じて要件や効果が異なります。

1-3:意思表示が法律行為の核心である理由

法律行為の核心は意思表示です。

なぜなら、法律行為は、当事者の意思に基づいて法律効果を発生させる制度だからです。

民法は、個人が自分の意思に基づいて法律関係を形成することを尊重しています。

これを私的自治の原則といいます。

私的自治の原則の下では、人は自分の判断で契約を結び、財産を処分し、法律関係を作り出すことができます。

そのため、法律行為においては、当事者の意思が極めて重要になります。

もっとも、民法が保護するのは、心の中の意思そのものではありません。

法律関係は社会の中で他人との関係として成立するため、内心の意思が外部に表示される必要があります。

そこで、内心の意思と外部に表れた表示との関係が問題となる場合があります。

例えば、本当は売るつもりがないのに「売ります」と言った場合、相手方はその表示を信じるかもしれません。

この場合、表意者の内心を重視して無効とすべきか、それとも相手方の信頼を保護して有効とすべきかが問題になります。

ここに、心裡留保、虚偽表示、錯誤といった意思表示が完全ではなかった場合の規定の重要性があります。

意思表示の問題は、本人の真意をどこまで尊重するか、相手方の信頼をどこまで保護するか、取引の安全をどのように守るかという、民法の基本的な価値判断が現れる分野です。

2章:意思表示の4要素と意思の不存在

意思表示を正確に理解するには、その構造を分解して考えることが重要です。

特に、心裡留保(民法93条)・虚偽表示(民法94条)・錯誤(民法95条)の規定は、いずれも「意思と表示が一致していない場面」について定めています。

そのため、どの部分にズレがあるのかを理解できると、各制度の違いが一気に整理しやすくなります。

そこで、この章では、意思表示の4要素と、意思の不存在の基本構造を解説します。

2-1:意思表示の4要素|動機・内心的効果意思・表示意思・表示行為

意思表示は、一般に、動機、内心的効果意思、表示意思、表示行為という4つの要素に分けて理解されます。

意思表示の4要素|動機・内心的効果意思・表示意思・表示行為

まず、動機とは、意思表示をするに至った背景事情をいいます。

例えば、「駅が近いと思ったから土地を買う」「将来値上がりすると思ったから株を買う」といった事情が動機です。

動機は、内心的効果意思を形成する前提事情ですが、原則として意思表示の内容そのものではありません。

そのため、動機に誤りがあったとしても、常に法律行為の効力に影響するわけではありません。

次に、内心的効果意思とは、一定の法律効果を発生させようとする内心の意思です。

売買契約であれば、「所有権を移転させ、代金債権を発生させる」という法律効果を発生させようとする意思がこれにあたります。

法律行為の本体に最も近い意思といえます。

さらに、表示意思とは、内心的効果意思を外部に表示しようとする意思です。

心の中で「売ろう」と思っているだけでは、外部(例えば取引の相手方)から分からないため、法律関係には影響はありません。

そこで、その意思を相手方に伝える意思が必要になります。

表示意思は、内心と外部表示をつなぐ役割を果たします。

最後に、表示行為とは、実際に外部に表れた行為です。

口頭で「売ります」と言う、契約書に署名押印する、メールで承諾するなどが表示行為にあたります。

法律関係において相手方が直接確認できるのは、表示行為です。

この4要素を理解すると、心裡留保・虚偽表示・錯誤の違いが分かりやすくなります。

心裡留保では、表意者が内心と異なる表示をしていることを自分で分かっている状態です。

虚偽表示では、相手方と通じて虚偽の表示をしています。

錯誤では、表意者自身が認識を誤っており、内心と表示のズレに表意者自身が、気づいていません。

このように、どこにズレがあるのか、表意者や相手方がそれを知っているのかを分析することが、意思表示論の基本になります。

2-2:意思の不存在(意思の欠缺)とは

意思の不存在とは、表示行為は存在するものの、それに対応する真意や内心的効果意思が存在しない、または表示と内心が一致していない状態を言い、「意思の欠缺(けんけつ)」と呼ばれることもあります。

意思の不存在が問題となる典型例が、心裡留保、虚偽表示、錯誤です。

これらはいずれも、外部に表示された内容と、表意者の内心との間にズレがあります。

ただし、そのズレがどのように生じているかによって、民法上の処理が異なります。

心裡留保では、表意者が真意ではないことを知りながら、あえて異なる意思表示をします。

例えば、本当は売るつもりがないのに「売ります」と言う場合です。

この場合、ズレを作り出したのは表意者自身です。

そのため、民法93条では、原則としてその意思表示を有効としています。

これは、本人を信頼した相手方の取引の利益を尊重する必要があるからです。

虚偽表示は、表意者と相手方が通じて、真意ではない意思表示をします。

例えば、債権者からの差押えを免れるために、売るつもりがないのに売買契約を装う場合です。

この場合、相手方も虚偽であることを知っているため、民法94条1項で原則として無効とされています。

錯誤では、表意者が誤った認識に基づいて意思表示をします。

例えば、別の土地だと思って契約した場合です。

錯誤では、表意者は自分が誤った意思表示をしていることについて認識していません。

このような場合には、民法95条では、一定の要件を満たす場合に取消すことができるとしています。

このように、意思の不存在の場面では、本人の真意、相手方の信頼、取引安全をどのように調整するかが非常に重要になります。

3章:心裡留保とは、民法93条の定義・要件・効果

心裡留保(民法93条)は、意思表示に関する規定の中でも、まず理解しておきたい事項です。

なぜなら、心裡留保は、「表意者が自分で真意と異なる表示をしている」という、意思と表示のズレの基本形と言えるからです。

心裡留保の内容を正確に理解できると、虚偽表示や錯誤との違いも明確になります。

そこで、この章では、民法93条の条文を確認しながら、定義、要件、効果、第三者保護の規定まで詳しく解説します。

3-1:心裡留保の定義と日常的な具体例2

民法93条は、心裡留保について次のように規定しています。

「意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知り、又は知ることができたときは、その意思表示は、無効とする。

2 前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」

心裡留保とは、表意者が自分の真意ではないことを知りながら、あえて真意と異なる意思表示をすることをいいます。

簡単にいえば、「本気ではないと自分で分かっているのに、外部には本気のように表示すること」です。

例えば、Aが友人Bに対して、冗談のつもりで「この時計を1万円で売ってあげる」と言った場合を考えます。

Aの内心では売るつもりがありません。

しかし、Bがその発言を本気だと受け取った場合、Aは「冗談だった」と主張できるのでしょうか。

このような場面が心裡留保の典型例です。

もう1つの例として、会社の代表者が、本当は契約するつもりがないのに、相手方を安心させるために「その条件で契約しましょう」と発言した場合を考えます。

この場合も、表意者は真意ではないことを知りながら表示しています。

相手方がそれを信じた場合、取引安全との関係で、その表示をどのように扱うかが問題になります。

このように、心裡留保は日常的にも起こり得る問題です。

冗談、強がり、形式的な発言、相手を安心させるための発言など、表意者が真意ではないと分かっていながら外部に表示する場面は少なくありません。

民法93条は、このような場面について、原則として表示を信頼した相手方を保護する方向で規定されています。

3-2:成立要件|表意者の内心と表示の不一致

心裡留保が成立するためには、まず、表意者の内心的効果意思と表示行為が一致していないことが必要です。

つまり、表に出した表示内容と、心の中の真意が食い違っている必要があります。

例えば、「売ります」と表示しているのに、内心では売るつもりがない場合です。

この時、外部に表れた表示行為は売買の申込みですが、内心的効果意思としては売買契約を成立させる意思がありません。

このズレが心裡留保を検討する際の出発点になります。

次に重要なのは、表意者がその不一致を知っていることです。

心裡留保では、表意者は自分の表示が真意と違うことを認識していることが必要です。

この点が錯誤との大きな違いです。

錯誤では、表意者自身が誤解しており、自分の認識と現実がズレていることに気づいていません。

これに対して、心裡留保では、表意者が「本当はそう思っていない」と分かった上で表示しています。

さらに、相手方との通謀がないことも重要です。

虚偽であることについて相手方と通謀している場合は、心裡留保ではなく虚偽表示の問題になります。

心裡留保は、あくまで表意者が一方的に真意と異なる表示をしている場合です。

したがって、心裡留保の要件は、表意者の内心と表示が一致していないこと、表意者がその不一致を認識していること、相手方と通謀していないこと、という流れで整理すると分かりやすくなります。

予備試験や司法試験の答案では、いきなり「心裡留保だから有効」と書くのではなく、まず表意者の真意と表示内容にズレがあること、そのズレを表意者が認識していたことを丁寧に認定することが重要です。 

3-3:法的効果|原則有効・例外無効の構造

民法931項本文は、表意者が真意ではないことを知って意思表示をした場合でも、その効力は妨げられない旨、定めています。

つまり、心裡留保による意思表示は、原則として有効です。

これは、表示を信頼した相手方を保護する必要があるからです。

表意者が自分の意思で外部に表示した以上、その表示を信じた相手方に不利益を負わせるのは公平ではありません。

特に取引社会では、相手の心の中を完全に確認することはできません。外部に表示された言葉や行動を信頼して取引を行うのが通常です。

そのため、民法は、内心よりも表示を重視し、原則として心裡留保を有効としています。

これは、表意者に対して「自分の表示には責任を持つべきである」という考え方を示すものでもあります。

もっとも、相手方が表意者の真意でないことを知っていた場合、または知ることができた場合には、相手方を保護する必要はありません。

そこで、民法931項ただし書は、この場合には意思表示を無効としています。

例えば、Aが明らかに冗談で「この高級車を100円で売る」と言い、Bもそれが冗談だと分かっていた場合、Bを保護する必要はありません。

また、状況から見て普通であれば真意ではないと気づけた場合にも、相手方を保護する必要は弱くなります。

このような場合には、意思表示は無効となります。

ここで重要なのは、相手方の主観状態です。

相手方が、表意者の真意について、善意無過失(知らない又は知らないことについて過失がない状態)であれば原則有効です。

しかし、相手方が、表意者の真意について、悪意(知っている場合)または有過失(知らないことに不注意がある場合)であれば無効となります。

答案では、相手方が真意でないことを知っていたか、または知ることができたかを具体的事情に即して検討する必要があります。

3-4:第三者保護|善意の第三者には無効を対抗できない

民法932項では、次のとおり規定されています。

「前項ただし書の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」

これは、心裡留保による意思表示が例外的に無効となる場合でも、その無効を善意の第三者に対抗できないということを意味します。

この規定は、取引安全を保護するためのものです。

例えば、Aが真意ではない意思表示をし、Bがそれを知っていたため、AB間では無効となる場合を考えます。

しかし、その後、Bから事情を知らないCが目的物を取得した場合、Cまで保護されないとすると、取引の安全が害されます。

そこで、民法932項は、善意の第三者を保護しています。

ここでいう善意とは、心裡留保による無効原因を知らないことを意味します。

条文上は善意で足り、無過失までは要求されていません。

この第三者保護の規定は、虚偽表示における民法942項と似た構造となっています。

もっとも、心裡留保では表意者が一方的に真意と異なる表示をしているのに対し、虚偽表示では相手方と通謀しています。

そのため、制度の趣旨には違いがありますが、善意の第三者を保護するという取引安全の考え方は共通しています。

予備試験や司法試験では、当事者間の効力だけでなく、その後に第三者が現れた場合の処理まで問われることがあります。

そのため、心裡留保では、民法93条1項本文、1項ただし書、2項の順に整理することが重要です。

4章:心裡留保と類似規定の比較

心裡留保を正確に理解するためには、虚偽表示と錯誤との違いを整理することが不可欠です。

これらは、いずれも意思表示の瑕疵・意思の不存在に関する規定ですが、ズレの原因、表意者の認識、相手方の関与、法的効果が異なります。

そこで、この章では、心裡留保と虚偽表示、錯誤を比較しながら、分かりやすく整理します。

4-1:虚偽表示(94条)との違い|相手方の合意の有無

民法94条は、虚偽表示について次のように規定しています。

「相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。

2 前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。」

虚偽表示とは、表意者と相手方が通じて、真意ではない意思表示をすることをいいます。

例えば、Aが債権者からの差押えを免れるために、Bと相談して、実際には売るつもりがない土地をBに売ったように装う場合です。

心裡留保と虚偽表示との大きな違いは、相手方との通謀があるかどうかです。

心裡留保では、表意者が一方的に真意と異なる表示をします。

相手方は、少なくとも原則的にはその表示を信頼している状態にあります。

これに対して虚偽表示では、相手方も真意でないことを知っており、表意者と一緒に虚偽の外観を作り出しています。

この違いは法的効果にも反映されます。

心裡留保は原則有効とされています。

なぜなら、表示を信頼した相手方を保護する必要があるからです。

これに対して虚偽表示は原則無効です。

相手方も虚偽であることを知っているため、保護する必要がないからです。

ただし、虚偽表示でも、虚偽表示について善意の第三者は保護されます。

これは、虚偽の外観を信頼して新たに法律関係に入った第三者を守るためです。

心裡留保にも932項で善意の第三者保護規定がありますが、虚偽表示の場合には、虚偽の外観を作り出した当事者の帰責性がより強いといえます。

このように予備試験では、心裡留保と虚偽表示を比較する問題がよく出ます。

その際には、「相手方は真意を知らなかった状態」なのか「相手方が真意を知っていた状態」なのか、それとも「相手方と通じて積極的に外観を作出したのか」という点を意識することが重要です。

相手方が単に真意でないことを知っているだけなら心裡留保931項ただし書の問題ですが、表意者と相手方が通謀して虚偽の表示をした場合は虚偽表示94条の問題になります。

4-2:錯誤(95条)との違い|表意者の認識の方向性

民法95条は、錯誤について規定しています。

この規定により、意思表示が一定の事項に関する錯誤に基づくもので、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができます。

心裡留保と錯誤の違いは、表意者がズレを認識しているかどうかです。

心裡留保では、表意者は真意と表示が違うことを知っています。つまり、自分で意識的にズレを作っています。

例えば、本当は売るつもりがないのに「売ります」と言う場合です。

これに対して、錯誤では、表意者は自分の認識が誤っていることに気づいていません。

例えば、A土地を買うつもりで契約したが、実際にはB土地の売買契約書に署名していた場合や、重要な条件を誤解して契約した場合です。

表意者は真剣に意思表示をしていますが、その前提となる認識に誤りがあります。

この心裡留保と錯誤の違いは法的効果にも表れます。

心裡留保は原則有効であり、例外的に無効となる場面があります。

これに対して、錯誤は、要件を満たす場合に取消しが認められます。

また、錯誤では、表意者に錯誤に陥ったことについて、重大な過失がある場合には、原則として取消しが制限されます。

これは、表意者が重大な不注意によって錯誤に陥った場合まで常に保護すると、相手方の取引安全を害するためです。

心裡留保、虚偽表示、錯誤を「ズレを誰が、どのように認識しているか」で整理すると、予備試験で迷いにくくなります。

まとめ:法律行為・心裡留保の要点を整理し理解する

法律行為とは、意思表示に基づいて法律効果を発生させる行為です。

その中心には意思表示があり、これを理解するためには、動機、内心的効果意思、表示意思、表示行為という構造を押さえることが重要です。

その中で、心裡留保は、表意者が真意ではないことを知りながら意思表示をする場合です。

民法93条は、心裡留保による意思表示を原則として有効としつつ、相手方が真意でないことを知り、または知ることができた場合には無効としています。

さらに、善意の第三者にはその無効を対抗できません。

特に、心裡留保を理解する際には、虚偽表示や錯誤との違いを整理することが不可欠です。

虚偽表示は相手方との通謀がある点で心裡留保と異なり、錯誤は表意者がズレを認識していない点で心裡留保と異なります。

民法の入門の学習では、「意思と表示がズレたときに、誰をどこまで保護するのか」という視点が非常に重要です。

この視点を持って学習を進めれば、心裡留保だけでなく、虚偽表示、錯誤、詐欺、強迫などの理解も深まります。

この記事では、初学者の方にもわかりやすいように、一般的な考え方を体系的に整理して解説しました。

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