【刑事訴訟法入門8】逮捕に基づく捜索・差押えの意義と無令状の根拠

監修者
講師 赤坂けい
株式会社ヨビワン
講師 赤坂けい
【刑事訴訟法入門8】逮捕に基づく捜索・差押えの意義と無令状の根拠
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チェック
この記事を読んで理解できること
  • 逮捕に基づく捜索・差押えとは何か
  • 時間的限界──「逮捕する場合」の意義
  • 場所的限界──「逮捕の現場」の意義
  • 捜索・差押えの対象物
  • 領置
  • 試験答案の構成方法


「逮捕したとき、令状なしに持ち物を調べることができるの?」

「どこまで捜索できる?ホテルの部屋や別の建物まで大丈夫?」 

「捨てたゴミ袋は令状なしに見ていいの?」 

刑事訴訟法を学ぶ中で、こうした疑問を持った方は多いのではないでしょうか。 

逮捕に基づく捜索・差押えは、令状主義(憲法35条)の例外として、逮捕の際に令状なしに行うことができる強制処分です。

憲法が原則として令状を要求しているにもかかわらず、なぜ逮捕の場面では例外が認められるのか、またその例外はどこまで及ぶのかが重要な論点となります。 

本記事では、逮捕に伴う無令状の捜索・差押えの根拠と限界(時間的・場所的限界)、捜索・差押えの対象物、さらに領置という処分まで、予備試験・司法試験に必要な知識を体系的に解説します。 

この記事で学べること

  • 【初級】逮捕に基づく捜索・差押えの意義と刑訴法220条の構造
  • 【初中級】無令状捜索・差押えが許される根拠(相当説と緊急処分説)
  • 【中級】時間的限界──「逮捕する場合」の意義と判例の判断基準
  • 【中上級】場所的限界──「逮捕の現場」の意義と複数の判例分析
  • 【中上級】領置の意義と適法性──ゴミ袋を使った捜査は許されるか

1章 逮捕に基づく捜索・差押えとは何か

1-1 意義と根拠条文

逮捕に基づく捜索・差押えとは、捜査機関が被疑者を逮捕する場合に、令状なしに捜索・差押え等の処分を行うことができるという制度です(刑訴法220条)。

刑訴法2201項は次のとおり定めています。

2201

「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。(略)

一 人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。

二 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。」

1号は逮捕のための住居等への立入り・捜索、2号は逮捕の現場での差押え・捜索・検証です。

試験上問題となるのは主に2号の処分ですので、以下ではこれを中心に解説します。

なお、刑訴法2203項は「第一項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と定めており、令状の呈示を原則としつつ急速を要する場合の例外を認めています。

1-2 憲法35条との関係

逮捕に基づく無令状の捜索・差押えは、憲法351項の「第三十三条の場合を除いては」という文言に基づき、令状主義の例外として許容されます。

憲法33条は逮捕に関する条文ですから、適法な逮捕がある場合には、憲法35条の令状主義の例外として無令状の捜索・差押えが可能とされるわけです。

1-3 無令状捜索・差押えが許される根拠

なぜ逮捕の場合には令状なしに捜索・差押えが許されるのか、学説上は大別して2つの考え方が主張されています。 

相当説(合理説)

逮捕現場には、逮捕の理由となった被疑事実に関する証拠物が存在する蓋然性が一般的に高く、令状を請求すれば当然に発付される状況にある以上、裁判官による事前審査を介させるまでの必要がないからだという考え方です(最大判昭3667刑集156915参照)。

緊急処分説

逮捕の際には、被逮捕者による証拠の隠滅・逃亡を防止し、逮捕者の身体の安全を図るために急速に捜索・差押えを行う必要があることから、令状なしの処分が認められるという考え方です。

この根拠論の違いは、時間的限界・場所的限界の解釈に影響を及ぼします。

1-4 なぜ試験で重要か

第一に、令状主義(憲法35条)の例外を扱う論点であることです。令状主義の趣旨と例外の許容範囲は、常に意識して論じる必要があります。

第二に、「逮捕する場合」(時間的限界)・「逮捕の現場」(場所的限界)という条文の解釈が、複数の対立する考え方と判例によって形成されており、答案での規範定立が問われる論点です。

第三に、逮捕に伴う捜索・差押えによって収集された証拠が違法収集証拠排除法則(最大判昭5397刑集3261672)の問題に直結する点です。

2章 時間的限界──「逮捕する場合」の意義

2-1 問題の所在

刑訴法2201項は「被疑者を逮捕する場合……において必要があるとき」と規定しています。

そうすると、逮捕よりも先に捜索・差押えを実施したとしても「逮捕する場合」にあたるのかという問題が生じます。

2-2 先行捜索の適法性──最大判昭3667

この問題を扱ったリーディングケースが最大判昭3667刑集156915です。

事案は、麻薬取締官であるGらが、麻薬を所持していたAを現行犯人として逮捕し、Aを連行のうえ、麻薬の入手先であるX(被告人)宅に、Xを緊急逮捕すべく午後930分頃に赴いたというものです。Xは外出中でしたが、Gらは、Xが帰宅次第逮捕する態勢を整えたうえで、X宅の捜索を開始し、ヘロインを発見して差し押さえました。捜索がほとんど終わる頃になってXが帰ってきたため、Gらは午後950分頃Xを緊急逮捕するとともに、直ちに逮捕状を求める手続をとり、その後裁判官により逮捕状が発せられました。

最高裁は次のように述べ、本件捜索・差押えを適法としました。

「『逮捕する場合において』とは、単なる時点よりも幅のある逮捕する際をいうのであり、……逮捕との時間的接着を必要とするけれども、逮捕着手時の前後関係は、これを問わないものと解すべきであって、このことは、同条11号の規定の趣旨からも窺うことができるのである。したがって、例えば、緊急逮捕のため被疑者方に赴いたところ、被疑者がたまたま他出不在であっても、帰宅次第緊急逮捕する態勢の下に捜索、差押がなされ、且つ、これと時間的に接着して逮捕がなされる限り、その捜索、差押は、なお、緊急逮捕する場合その現場でなされたとするのを妨げるものではない。」

2-3 「逮捕する場合」の解釈

最大判昭3667の判断から、「逮捕する場合」は時間的に幅のある概念であり、逮捕着手の前後は問わないが、逮捕との時間的接着が必要であると解されます。

各学説による時間的範囲の違いは次の表のとおりです。

論点

相当説

緊急処分説

逮捕着手前の捜索

可(逮捕の蓋然性があれば足りる)

原則不可(証拠隠滅の危険なし)

逮捕完了後の捜索

可(証拠は現場に存在し続ける)

不可(被逮捕者が完全に身動きできない状態になれば不要)

逮捕失敗後の捜索

不可

最大判昭3667の評価

相当説で説明可能

緊急処分説では先行捜索を許容しにくい

3章 場所的限界──「逮捕の現場」の意義

3-1 問題の所在

刑訴法22012号は「逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること」と規定しています。

「逮捕の現場」をどこまで広げて解釈できるかが問題となります。

3-2 相当説と緊急処分説の対立

相当説によれば、無令状で捜索・差押えが許される範囲は、仮に令状を請求し発付されたとしたら捜索・差押えが可能な範囲、すなわち被疑者の身体及び携帯品のほか、逮捕地点を起点として同一の管理権が及ぶ範囲内の場所ということになります。

これに対し、緊急処分説によれば、被逮捕者が証拠を隠滅することが可能な範囲、すなわちその身体及び直接の支配下(手の届く範囲内)にある場所及び物件に限られます。

3-3 被逮捕者の身体・所持品の差押え──最決平8129

被逮捕者の身体及び所持品の差押えについて、逮捕場所から離れた場所での差押えの適法性が問題とされた判例が最決平8129刑集5011です。

事案は、内ゲバ事件の被疑者であるXYZ3名を、凶器準備集合、傷害の事実により準現行犯人として逮捕した後、Xについてはパトカーに乗せて逮捕場所から約500メートル離れた警察署に連行したうえで両腕から籠手を取り外して差し押さえ、YZについては逮捕場所から約300メートル離れた駐在所まで連行し、さらに3キロメートル離れた警察署に車で連れていったうえで、両名が持っていたリュックとスポーツバッグを取り上げて差し押さえたというものです。

最高裁は次のように述べ、本件差押えを適法としました。

「刑訴法22012号によれば、捜査官は被疑者を逮捕する場合において必要があるときは逮捕の現場で捜索、差押え等の処分をすることができるところ、右の処分が逮捕した被疑者の身体又は所持品に対する捜索、差押えである場合においては、逮捕現場付近の状況に照らし、被疑者の名誉等を害し、被疑者らの抵抗による混乱を生じ、又は現場付近の交通を妨げるおそれがあるといった事情のため、その場で直ちに捜索、差押えを実施することが適当でないときには、速やかに被疑者を捜索、差押えの実施に適する最寄りの場所まで連行した上、これらの処分を実施することも、同号にいう『逮捕の現場』における捜索、差押えと同視することができ、適法な処分と解するのが相当である。」

この決定のポイントは、逮捕の場所での差押えが適当でない場合には、最寄りの適した場所まで連行して差し押さえることが「逮捕の現場」での差押えと同視される、という点にあります。

ただし、「最寄りの場所」であることが要件であり、より近い地点で差押えが実施できたにもかかわらずさらに遠い場所まで連行した場合には適法とはいえないとされています。

3-4 第三者宅での逮捕と「逮捕の現場」の範囲──東京高判昭44620

「逮捕の現場」の場所的限界が問題とされた代表的な事案として東京高判昭44620高刑集223352があります。

事案の概要は以下のとおりです。

警察官Pらは、甲ホテルに赴き張込みをしていたところ、午後310分頃、Xが外出先から帰ってきたのでXを同ホテル5階待合所で職務質問し、所持品の検査をしたところ、大麻たばこ1本が発見されたため、直ちに同所でXをこの大麻たばこ1本の所持の容疑により現行犯人として逮捕しました。逮捕後、Xから7階の714号室内にある自己の所持品を携行したいとの申出があったので、Pらはこれを許すと共に、Xに対し逮捕の現場においては令状によらずとも捜索・差押えができるから714号室を捜索する旨を告げ、X5階の待合所から7階の714号室に連行したうえ、714号室の捜索を開始しました。

本判決は、714号室における捜索・差押えを適法としました。

もっとも、現在では、裁判官も含め本判決の結論を疑問とする見解が多数を占めています。

逮捕地点である5階の待合所と7階の714号室は管理権を異にしており、相当説の立場でも「逮捕の現場」にあたらないというべきでしょう。

捜査機関としても、逮捕地点と管理権を異にする場所は「逮捕の現場」にはあたらないという前提で運用を行うべきであるとされています。

3-5 搜査機関が意図的に場所を移動させた場合──福岡高判平538

第三者の住居で被疑者が逮捕された場合の捜索の範囲が問題とされたのが福岡高判平538判タ834275です。

P警部補らは、覚醒剤をA子方に運び込んだと判断したXに職務質問を実施するため声をかけたところXが逃走し、Xがペーパーバッグを放り投げた後、PらはXとともにA子方に入りました。台所流し台の下に覚醒剤2袋が発見されたことにより、XA子は覚醒剤営利目的による共同所持の現行犯人として逮捕されました。

本判決は、A子方に対する捜索をXの逮捕に伴う捜索として正当化することはできないとしました。

その理由として、本件においては、職務質問を継続するために、被疑者以外の者の住居内に、その居住者の承諾を得た上で場所を移動し、同所で職務質問を実施した後被疑者を逮捕したような場合には、逮捕に基づき捜索できる場所も自ずと限定されると解さざるを得ないのであって、A子方への捜索を逮捕に基づく捜索として正当化することはできないというべきであると判示しました。

この判決は、捜査機関が意図的に被疑者を移動させ、本来令状が必要な場所での無令状捜索ができる状況を作り出すことを令状主義潜脱として制限する観点から重要な判例です。

4章 捜索・差押えの対象物

4-1 対象物の範囲

逮捕に伴う無令状の捜索・差押えの対象となる証拠物は、相当説と緊急処分説のどちらの考え方に立っても、逮捕の理由とされた被疑事実に関する物に限定されます。

それ以外の被疑事実に関する証拠物については、逮捕現場に証拠が存在する蓋然性が類型的に高いとはいえないからです。

緊急処分説のもとでは、このほかに凶器や逃走のための道具も対象物として挙げられます。

ただし、これらは本条によるというよりは、逮捕に対する妨害ないしその危険を排除するための措置として、逮捕の効力により行うことができるとする見解もあります。

4-2 被逮捕者以外の者の身体・物

被逮捕者以外の者が逮捕現場にいる場合、その者の身体・物への捜索・差押えについては、刑訴法1022項(2221項により準用)が「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況」の存在を要求しています。

そのため、逮捕現場にいるというだけで当然に被逮捕者以外の者の身体・物を捜索できるわけではありません。

5章 領置

5-1 意義

領置とは、捜査機関が、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物の占有を取得する処分をいいます(刑訴法221条)。

刑訴法上の押収の一種ですが、処分の相手方の占有を剥奪するものではなく、占有の取得に強制力を伴わない点において差押えとは異なります。

領置の対象となるのは、遺留物又は任意提出された物であり、差押えとは異なり「証拠物又は没収すべき物と思料するもの」(刑訴法991項)には限られません。

遺留物とは、占有者の意思に基づかないで占有を離れた物(遺失物)のほか、占有者が自ら占有を離脱させた物を含みます。

領置は、強制処分たる差押えと異なり、憲法35条における「押収」には該当せず、無令状で行うことができます。

しかし、いったん占有が取得された後は、提出者等の意思に反しても占有を継続できる点で、強制処分としての性格を有しています。

5-2 領置の適法性──最決平20415(ゴミ袋事件)

公道上のゴミ集積所に捨てられたゴミ袋を警察が領置した事案について判示したのが最決平20415刑集6251398です。

事案は、強盗殺人事件において、ATMから被害者のキャッシュカードを使って現金を引き出す様子が防犯ビデオに撮影されていた犯人と思われる人物とX(被告人)の同一性を立証するために、警察官が、X及びその妻が自宅付近の公道上にあるゴミ集積所に出したゴミ袋を回収したうえ、そのゴミ袋の中身を警察署内において確認し、防犯ビデオに写っていた人物が着用していたものと類似するダウンベスト、腕時計等を発見し、これらを領置したというものです。

最高裁は次のように述べ、本件領置手続を適法としました。

「被告人及びその妻は、これらを入れたゴミ袋を不要物として公道上のゴミ集積所に排出し、その占有を放棄していたものであって、排出されたごみについては、通常、そのまま収集されて他人にその内容が見られることはないという期待があるとしても、捜査の必要がある場合には、刑訴法221条により、これを遺留物として領置することができるというべきである。また、市区町村がその処理のためにこれを収集することが予定されているからといっても、それは廃棄物の適正な処理のためのものであるから、これを遺留物として領置することが妨げられるものではない。」

この決定のポイントは、公道上のゴミ集積所に排出されたゴミ袋は遺留物にあたる、他人に内容を見られることはないという期待があるとしても捜査の必要がある場合には領置できる、という2点です。

5-3 マンション内ゴミの領置──東京高判平3095

マンション内のゴミ集積所に捨てられたゴミ袋の領置の適法性が問題とされたのが東京高判平3095高刑集7121です。

本件では、侵入窃盗事件の被疑者(X)が居住するマンションのゴミステーションに出したゴミ袋を、警察官が、マンションの管理会社の担当者からの任意提出を受けて領置し、ゴミ袋を開封してその内容物を確認したという行為の適法性が問題となりました。

本判決は、マンション内のゴミの取扱いからすると、居住者等は回収・搬出してもらうために不要物としてごみを各階のゴミステーションに捨てているのであり、当該ごみの占有は、遅くとも清掃会社の担当者が各階のゴミステーションからそれを回収した時点で、ゴミを捨てた者から管理組合・管理会社・清掃会社に移転し、3者が重畳的に占有しているものと解されるとしました。

そのうえで、本件ゴミ4袋は、その所持者が任意に提出した物を警察が領置したものであり、ゴミ袋を開封しその内容物を確認した行為は、領置した物の占有継続の要否を判断するために必要な処分として行われたものとして、領置を適法としました。

また、本件ゴミの捜査の相当性については、長期にわたる捜査によるXの利益の侵害を正当化する事情があったことと、X以外の者の利益の侵害をできるかぎり避ける措置がとられていたことから、捜査全体として相当な方法で行われていたと判示しました。

なお、最決平20415(公道上のゴミ集積所)と本件(マンション内のゴミステーション)との違いは、後者においては、ゴミを捨てた者の占有からは離れたとしても、なお管理組合等の占有下にあるという点にあります。

そのため、マンション内のゴミに対して捜査機関が直ちに領置することはできず、その所持者から任意提出を受ける必要があります。

6章 試験答案の構成方法

6-1 論点の整理

逮捕に基づく捜索・差押えをめぐる問題を答案で論じる際には、問題となっている局面を正確に把握することが出発点となります。主な論点は以下のとおりです。

論点

検討内容

参照条文・判例

無令状の根拠

相当説か緊急処分説か

刑訴法220条・最大判昭3667

時間的限界

逮捕前の先行捜索は許されるか

最大判昭3667

場所的限界(移動後)

逮捕場所から移動後の差押えは「逮捕の現場」か

最決平8129

場所的限界(第三者宅)

第三者宅での逮捕に伴う捜索の範囲

東京高判昭44620、福岡高判平538

対象物

被疑事実と無関係な物を差し押さえられるか

刑訴法22012

領置の適法性

ゴミ袋の領置・開封は適法か

刑訴法221条・最決平20415

6-2 逮捕に伴う捜索・差押えの適法性を問う問題の答案構成

逮捕に伴う捜索・差押えの適法性が問われる問題では、

無令状捜索の根拠(どちらの学説に立つか)
時間的限界(「逮捕する場合」にあたるか)
場所的限界(「逮捕の現場」にあたるか)

という段階的な検討が基本です。

【答案構成の流れ】

  • 問題提起:逮捕に基づく捜索・差押えとして適法かを問う(刑訴法22012号)
  • 規範定立:無令状捜索・差押えの根拠(相当説・緊急処分説)を示したうえで、採用する学説の立場から時間的・場所的限界を示す
  • 当てはめ(時間的限界):逮捕との時間的接着があるか(最大判昭3667の基準)
  • 当てはめ(場所的限界):「逮捕の現場」にあたるか(最決平8129等の基準)
  • 対象物の検討:差し押さえられた物が逮捕の理由とされた被疑事実と関連するか
  • 結論:適法・違法の結論を出したうえで、違法の場合には違法収集証拠排除の問題へ

6-3 領置の適法性を問う問題の答案構成

領置の適法性が問われる問題では、最決平20415の判断枠組みに沿いつつ、任意処分としての必要性・相当性を検討することが基本です。

【答案構成の流れ】

  • 問題提起:ゴミ袋等の取得が領置(刑訴法221条)として適法かを問う
  • 規範定立:領置の対象は遺留物・任意提出物であり令状不要(刑訴法221条)
  • 当てはめ:ゴミ袋が遺留物といえるか(占有の帰属・放棄の有無)
  • 当てはめ(必要性・相当性):任意処分として必要性・相当性を具備するか(特に長期間にわたる場合・第三者の利益侵害の有無)
  • 結論:適法・違法の結論

まとめ

逮捕に基づく捜索・差押えについて、本記事では以下の点を解説しました。

  1. 逮捕に基づく捜索・差押えは憲法351項の例外として無令状で行うことができ、その根拠について相当説と緊急処分説の対立がある(刑訴法220条)
  2. 「逮捕する場合」は時間的に幅のある概念であり、逮捕着手の前後は問わないが、逮捕との時間的接着が必要(最大判昭3667
  3. 逮捕場所での差押えが適当でない場合は、最寄りの適した場所まで連行して行うことも「逮捕の現場」での差押えと同視できる(最決平8129
  4. 第三者の住居で逮捕された場合、逮捕に伴う捜索として正当化できる範囲は自ずと限定される(福岡高判平538
  5. 領置は無令状で行うことができ、公道上のゴミ集積所に排出されたゴミ袋は遺留物として領置の対象となる(最決平20415
  6. マンション内のゴミの領置は、管理組合等の所持者からの任意提出を受けたうえで行われた場合に適法となり、任意処分としての必要性・相当性も求められる(東京高判平3095

次回記事では、検証・鑑定・身体検査について解説します。

【刑事訴訟法入門9】検証・鑑定・身体検査の意義と強制採尿の論点

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