【民事訴訟法入門7】処分権主義と申立事項の限界を判例で解説
「原告が求めていない判断まで、裁判所が勝手にしてよいの?」
「一〇〇〇万円を請求したのに七〇〇万円だけ認める判決は、申立てを超えていないの?」
「立退料は二〇〇万円と申し出たのに、三〇〇万円と引換えに明け渡せという判決は許されるの?」
民事訴訟法を学ぶ中で、こうした疑問を持った方は多いのではないでしょうか。
本連載は、民事訴訟法の重要論点を、判例に即して基礎から解説していく企画です。
民事訴訟の手続は、大きく分けて、①訴えの提起(何を審判の対象とするか)、②審理(判決の基礎となる事実と証拠をどのように集めるか)、③訴訟の終了(どのように終わり、どのような効力が残るか)という三つの場面から成り立っています。
第一回である本記事では、その出発点にあたる処分権主義を扱います。
処分権主義は、訴えるかどうか、何について訴えるか、どのような形で訴訟を終わらせるかを当事者の意思に委ねる建前であり、民事訴訟法における基本中の基本ともいえる原則です。
私人間の権利関係は本来当事者が自由に処分できるのですから(私的自治の原則)、その権利関係についての裁判も当事者の意思を離れて開始・拡大することは許されない、というのがその出発点です。
もっとも、試験で実際に問われるのは、裁判所がした判決が「当事者が申し立てていない事項」についての判決として違法とならないか、という判決段階の問題です。
本記事では、処分権主義の意義と根拠を確認したうえで、民事訴訟法246条の意味と機能、一部認容判決が許される理由と判断の枠組み、そして判例が現れた具体的な場面を解説します。
この記事で学べること
- 【初級】処分権主義の意義(三つの内容)とその根拠
- 【初級】民事訴訟法246条の意味と、弁論主義との違い
- 【初中級】一部認容判決がなぜ許されるのか(量的一部認容と質的一部認容)
- 【中級】処分権主義違反かどうかの判断枠組み(原告の合理的意思と被告の不意打ち)
- 【中級】債務不存在確認の訴えにおける一部認容判決(最判昭和40年9月17日)
- 【中上級】立退料を増額した引換給付判決の可否(最判昭和46年11月25日)
- 【中上級】控訴審における不利益変更禁止の原則(304条)
第1章 処分権主義とは何か
1-1 三つの場面に現れる当事者の自由
民事訴訟法は、処分権主義という制度を採用しています。
その内容は、次の三つに整理することができます。
- ①訴えるかどうかが原告の自由であること
- ②何について訴えるかが原告の自由であること
- ③訴訟をどのような形で終わらせるかが当事者の自由であること
その根拠は、私的自治の原則が訴訟手続に反映したものである、と説明されています。
①は、憲法上の裁判を受ける権利から基礎づけられる「訴える自由」でもありますが、民事訴訟法としてはむしろ「訴えない自由」、つまり訴えたくない人について訴えが提起されたものとして扱うことはできない、という点に重きがあります。
②は、どういうものについて、どういう権利について、どういう形の判断を求めるのかを原告が決めることができ、裁判所は判断を求められた範囲でしか判断できない、ということです。
③は、判決まで行くのか、訴訟上の和解で終わらせるのか、訴えを取り下げて終わらせるのかといったことを意味します。
もっとも、③については、訴訟上の和解は被告が合意しなければ成立しませんし、訴えの取下げについても相手方の同意が必要な場合があります(261条2項)。
この意味で、③は原告の意思だけで実現が保障されているわけではありません。
訴訟の終了場面の詳細は、本連載第8回で改めて扱います。
1-2 246条の意味と機能
処分権主義のうち①と②を条文の形で表しているのが、民事訴訟法246条です。
同条は、「裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。」
と定めています。
原告が審判を求めた範囲(申立事項)が、そのまま裁判所が判決をすることのできる範囲(判決事項)を画するのです。
ここで注意したいのは、処分権主義は原告の自由の問題であるにもかかわらず、条文の表現からも分かるとおり、実際には判決をする段階で裁判所が原告の自由を侵害していないかという形で問題となる、という点です。
答案でも、「裁判所の判決が246条に反しないか」という形で問題提起することになります。
また、246条は被告の保護にも役立っています。
申立事項は、その訴訟に原告がかけた利益主張の限度を画するものですから、被告は、敗訴した場合に失う利益の最大限度をそれによって知ることができ、応訴の仕方や程度を計算することができます。
申立事項を超えて判決をすることは、この計算を裏切る「不意打ち」となるのです。
実際、訴訟物として提示されていない権利について判決がされたとすると、その権利がないと判断された場合には原告が審判を求めていない権利を失うことになりますし、逆にその権利があると判断された場合には、被告が、審判の対象となっていないはずの権利を否定できなくなり、思いがけない不利益を受けることになってしまいます。
そこで、処分権主義違反かどうかは、原告の訴えの合理的意思(合理的に審判を期待すべき範囲内かどうか)を中心に、被告にとっての不意打ちとなるかどうかの観点も踏まえて判断すべきことになります。
実際に問題となるのは、訴訟物とはまったく別の権利について判断がされるような明白な場合ではなく、申立ての範囲内のようでも範囲外のようでもある微妙な場合です。
1-3 弁論主義との違い
処分権主義と並ぶ民事訴訟の基本原則が、弁論主義です。
両者はいずれも私的自治の訴訟法上の現れですが、はたらく場面が異なります。
処分権主義は、審判の対象となる権利(訴訟物)を原告が提示し、訴訟の開始と終了を当事者が決めるという場面の原則です。
これに対して弁論主義は、その権利関係の基礎となる事実と証拠の収集を当事者の権能と責任に委ねるという場面の原則です。
弁論主義は、①当事者が主張しない事実を裁判所は判決の基礎とすることができない(第一テーゼ)、②当事者間に争いのない事実は裁判所がそのまま判決の基礎としなければならない(第二テーゼ)、③争いのある事実を証拠によって認定する場合の証拠は当事者が申し出たものに限られる(第三テーゼ)、という三つの内容から成ります。
弁論主義については本連載第五回で、その第二テーゼから導かれる自白については第六回で詳しく扱います。
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原則 |
はたらく場面 |
主な条文 |
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処分権主義 |
審判の対象(訴訟物)の設定と、訴訟の開始・終了 |
246条(明文) |
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弁論主義 |
判決の基礎となる事実と証拠の収集 |
明文なし(179条等) |
第2章 一部認容判決――申立ての範囲内かどうか
2-1 なぜ一部認容判決は許されるのか
たとえば、一〇〇〇万円の貸金返還請求訴訟で、すでに三〇〇万円の弁済があったと認定され、「被告は原告に七〇〇万円を支払え」という判決がされたとします。
これはよくある一部認容判決であり、処分権主義違反ではありません。
原告は当然に一〇〇〇万円の範囲での判断を求めているのであって、一〇〇〇万円かゼロかの判断を求めているわけではないからです。
七〇〇万円の認容は当事者が申し立てている範囲内の判断であり、残りの三〇〇万円の部分は請求棄却となります。
このように、一部認容判決は、原告の申立ての中に「その一部でも認めてほしい」という合理的意思が含まれていると考えられるからこそ許されます。
逆にいえば、原告の合理的意思の範囲を超える判決や、被告にとって不意打ちとなる判決は、たとえ原告に有利であっても許されないことになります。
2-2 判断の枠組み
判例・学説を通じて用いられている判断の枠組みは、次の二点です。
- 通常の原告の合理的意思に反しないこと(246条が原告の意思を尊重する趣旨に由来)
- 被告にとって不意打ちとならないこと(246条の不意打ち防止機能に由来)
この二つを満たせば、申立事項の制限に反せず適法となります。
もっとも、事案によって、この二点の検討の重みは異なります。
訴訟物が同一で認容額だけが小さくなる場合(量的一部認容)は、原則として適法であり、例外的に①②が問題となるにとどまります。
これに対して、求められた判決とは形の異なる判決をする場合(質的一部認容)は、そもそも申立ての範囲内といえるかが正面から問題となるため、①②を丁寧に検討する必要があります。
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類型 |
内容 |
典型例 |
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量的一部認容 |
訴訟物は同一で、認容される数量が申立てより小さい |
一〇〇〇万円の請求に対する七〇〇万円の認容判決 |
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質的一部認容 |
判決の形(給付の態様等)が申立てと異なる |
引換給付判決、現在給付の請求に対する将来給付の判決 |
第3章 判例で確認する具体例
3-1 確認の訴えに対する給付判決
原告が一〇〇〇万円の貸金債権を有することの「確認」を求める訴えを提起した場合に、裁判所がこの債権の存在を認めたうえで「被告は、原告に対し、一〇〇〇万円を支払え。」
という「給付」判決をすることはできるでしょうか。
この場合、訴訟物である権利は一〇〇〇万円の貸金債権で同一です。
しかし、原告が求めていないのに債務名義となる給付判決を言い渡すことは、原告にとっても被告にとっても予想の範囲外であり、「当事者が申し立てていない事項について」判決をしたことになります。
したがって、処分権主義違反として許されません。
なお、給付の訴えを提起できるのに確認の訴えを提起した場合には、そもそも確認の利益がないとされるのが通常です。
3-2 現在給付の訴えに対する将来給付の判決
原告が貸金債権を主張して一〇〇〇万円の給付の訴えを提起したところ、弁済期が未到来であることが判明した場合はどうでしょうか。
弁済期が未到来である以上、現在給付の訴えは請求棄却となるはずであり、申立て以上に原告に有利な判決をすることになるから処分権主義に反する、という考え方もあります。
しかし、将来給付の判決は、原告の権利が将来の給付を求める限度で認められるという意味で、原告の申立ての範囲内の判決として許されると解すべきでしょう。
原告の合理的意思に反するとは思われませんし、被告にとっても思いがけない不利益とはいえないからです。
もっとも、将来給付の訴えには「あらかじめその請求をする必要がある場合」という要件(135条)がありますので、その要件を満たすかどうかは別途問題となります。
通常は被告が義務自体を争っているため、この要件も満たすといえるでしょう。
3-3 債務不存在確認の訴えと原告の自認額
つぎに、債務者が、一〇〇〇万円の貸金債務のうち二〇〇万円を超えては債務が存在しない旨の債務不存在確認の訴えを提起した場合を考えます。
この訴訟で、裁判所が「原告の債務は一〇〇万円を超えて存在しない」という判決をすることは、処分権主義違反となり許されません。
原告は二〇〇万円の債務を自認して争わず、残りの八〇〇万円の部分について不存在の確認を求めているのですから、自認部分は審判の対象になっておらず、そこまで踏み込んで判断することは「当事者が申し立てていない事項」についての判決になるからです。
では逆に、審理の結果、原告が自認する二〇〇万円を超える債務(たとえば三〇〇万円)が存在すると認定された場合、直ちに請求棄却としてよいでしょうか。
判例は、この場合に、債務額を認定して「原告の債務は三〇〇万円を超えて存在しない」という一部認容判決をすべきであるとしています(最判昭和40年9月17日民集19巻6号1533頁)。
全部棄却では紛争が解決せず、残存額まで一回の訴訟で確定するほうが当事者の公平にも訴訟経済にも資するのであり、それが原告の合理的意思にも反しないと考えられるからです。
なお、原告が自認した部分については訴訟物となっていないため既判力は生じませんが、原告が後にその部分を争うことは信義則上許されなくなると解されます。
既判力については本連載第九回以下で扱います。
3-4 立退料の増額と引換給付判決
建物の明渡請求訴訟で、原告が借地借家法上の正当事由(同法28条)を補完する立退料として二〇〇万円を提示している場合に、「被告は、原告から三〇〇万円の支払を受けるのと引換えにその建物を明け渡せ」という判決をすることは許されるでしょうか。
まず、引換給付判決そのものは、同時履行の抗弁権(民法533条)や留置権(民法295条)の主張があった場合に、いわば質的な一部認容判決として認められています(同時履行の抗弁権につき大判明治44年12月11日民録17輯772頁、留置権につき最判昭和33年3月13日民集12巻3号524頁)。
民事執行法31条1項にも、引換給付判決が可能であることを前提とする規定が置かれています。
問題は、原告が提示した立退料の額を上回る額の支払と引換えに明渡しを命じることができるかです。
判例は、原告が立退料として三〇〇万円を提示している事案で、五〇〇万円と引換えに建物の明渡しを命じる判決をすることは許されるとしました(最判昭和46年11月25日民集25巻8号1343頁)。
原告は「立退料として300万円もしくはこれと格段の相違のない一定の範囲内で裁判所の決定する金員を支払う旨の意思を表明し」たといえる、というのがその理由です。
原告の合理的意思の範囲内であり、被告にとっても申立ての範囲内である以上不意打ちにはならない、と整理することができます。
逆に、原告が提示した二〇〇万円より低い一〇〇万円の支払と引換えとすることは、仮に原告に有利にみえても、原告が設定した申立ての内容に反するため、処分権主義から否定的に解されます。
ただし、原告が無条件の明渡しを求めつつ予備的に立退料の支払を表明している場合には、一部認容として認められる余地があります。
また、原告が立退料を支払う意思をまったく表明していない場合には、借地借家法28条が「財産上の給付をする旨の申出をした場合」と定めていることから、一定額との引換えを命じることはできないと解されます。
3-5 目的物の一部について命じる判決
土地の明渡請求について、その土地の一部の明渡しを命ずる判決をすることはできるでしょうか。
土地の一部は、金銭債権の一部と異なり個性がある点で問題となりますが、「その一部の認容であればむしろ請求棄却のほうを望む」という原告は通常考えられませんから、原告が有するのがその一部についての実体権であるというのであれば、一部認容として認めるべきでしょう。
判例にも、建物の一部の明渡し(最判昭和24年8月2日民集3巻9号291頁)や土地の一部の移転登記手続(最判昭和30年6月24日民集9巻7号919頁)を認めたものがあります。
3-6 損害費目と訴訟物の個数
交通事故の損害賠償請求訴訟で、原告が療養費・逸失利益・慰謝料についてそれぞれ一定額を請求したのに対し、裁判所が費目ごとの請求額を超える認定をすることは許されるでしょうか。
判例は、同一の不法行為に基づく損害賠償請求について、身体障害を理由とする財産上の損害と精神上の損害(慰謝料)とは原因事実と被侵害利益を共通にするから賠償請求権は一個であり、訴訟物も一個であるとしました(最判昭和48年4月5日民集27巻3号419頁)。
訴訟物が一個である以上、認容額の合計が請求額の合計を超えなければ、費目ごとの請求額を超えても申立事項を超えたことにはならず、量的一部認容として246条に反しません。
第4章 訴訟の終了場面と控訴審における現れ
4-1 判決によらない訴訟の終了
処分権主義の三つ目の内容である「訴訟をどのような形で終わらせるか」は、訴えの取下げ(261条以下)、請求の放棄・認諾(266条)、訴訟上の和解(267条)という形で現れます。
いずれも、当事者の意思によって、判決によらずに訴訟を終わらせる制度です。
これらの要件と効力は、本連載第八回「判決によらない訴訟の終了」で詳しく扱います。
4-2 不利益変更禁止の原則
処分権主義は、控訴審においても姿を現します。
304条は、「第一審判決の取消し及び変更は、不服申立ての限度においてのみ、これをすることができる。」
と定めています。
不服申立ての限度を超えて、不利益な判決をすることも(不利益変更禁止の原則)、有利な判決をすることも(利益変更禁止の原則)できません。
控訴審の審判の範囲もまた当事者の申立てによって画されるという意味で、これは処分権主義の控訴審における表れです。
たとえば、原告が建物明渡請求と一〇〇〇万円の支払請求をしたところ、第一審が七〇〇万円のみを認容し、建物明渡請求と三〇〇万円の支払請求を棄却したとします。
原告が三〇〇万円の部分のみを不服として控訴した場合、控訴審が五〇〇万円の支払請求のみを認容することは不利益変更禁止の原則に反して許されず、建物明渡請求を認容することは利益変更禁止の原則に反して許されません。
なお、職権調査事項である訴訟要件については、これらの原則は妥当しません。
第5章 試験答案の構成方法
5-1 一部認容判決の適法性が問われる事案
処分権主義は、答案では「裁判所がした判決が246条に反しないか」という形で問われます。
以下の流れで構成することが考えられます。
【答案構成の流れ】
- 問題提起:裁判所の判決が「当事者が申し立てていない事項」(246条)についてされたものとして違法とならないかを提起する
- 前提の確定:訴訟物と申立事項(請求の趣旨・原因)を確定し、判決の内容が訴訟物の範囲内にとどまるのか、範囲を超えるのかを区別する。量的一部認容か質的一部認容かを意識する
- 規範:246条の趣旨が原告の意思の尊重にあり、その機能が被告に対する不意打ちの防止にあることから、①通常の原告の合理的意思に反しないこと、②被告にとって不意打ちとならないことが認められれば、申立事項の制限に反せず適法である
- あてはめ:①については、全部棄却されるよりは一部でも認容されるほうが有利であるという原告の通常の意思、申立てとの隔たりの大きさ、原告が設定した申立ての内容に反しないかを具体的に検討する。②については、判決の内容が申立ての範囲内にとどまり、被告が敗訴により失う利益の限度を予測できたかを検討する
- 結論:適法であれば一部認容判決として許され、違法であれば246条違反となる。自認額を下回る判断や、原告の提示額を下回る引換給付など、原告の申立ての内容に反する場合には違法となる
なお、訴訟物の捉え方(旧訴訟物理論か新訴訟物理論か)によって、何が申立事項に含まれるかが変わり得る点にも注意が必要です。
また、立退料のように、実体法上の要件事実として当事者の主張が必要とされる事項については、処分権主義の問題ではなく弁論主義の問題として処理すべき場面もあります。
両者を意識的に区別して論じることが、高い評価につながります。
まとめ
処分権主義について、本記事では以下の点を解説しました。
- 処分権主義とは、①訴えるかどうか、②何について訴えるか、③どのような形で訴訟を終わらせるかを当事者の意思に委ねる建前であり、その根拠は私的自治の原則の訴訟手続への反映にある
- 246条は、裁判所が「当事者が申し立てていない事項」について判決をすることを禁じており、その趣旨は原告の意思の尊重、機能は被告に対する不意打ちの防止にある
- 一部認容判決は、①通常の原告の合理的意思に反せず、②被告にとって不意打ちとならない場合に適法となる。量的一部認容は原則として適法であり、質的一部認容では①②を丁寧に検討する
- 債務不存在確認の訴えでは、原告が自認する額を下回る判断は許されないが、自認額を超える債務が認定された場合には残存額を確定する一部認容判決をすべきである(最判昭和40年9月17日)
- 原告が提示した立退料を上回る額との引換給付を命じる判決は、原告の合理的意思の範囲内として許される(最判昭和46年11月25日)
- 同一事故による財産上の損害と精神上の損害は一個の訴訟物であり、総額の範囲内であれば費目ごとの請求額を超えても246条に反しない(最判昭和48年4月5日)
- 処分権主義は、判決によらない訴訟の終了(261条以下・266条・267条)や、控訴審の不利益変更禁止の原則(304条)にも現れる
次回記事では、処分権主義の応用問題であり、既判力とも深く関わる一部請求について解説します。
原告が債権の一部だけを訴求した場合に、残りの部分を後から請求できるのかという問題です。
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