【憲法入門15】職業選択の自由 薬事法判決・小売市場判決と規制目的二分論を徹底解説
目次
この記事を読んで理解できること
- 職業選択の自由の意義
- 職業の自由に対する規制
- 規制目的二分論
- 目的二分論だけでは説明できない判例
この記事は、
・職業選択の自由の意義について知りたい
・規制目的二分論について知りたい
・薬事法判決と小売市場判決の違いを知りたい
といった方におすすめです。
前回までは、集会の自由について全2回にわたり解説をしました。
今回は、経済的自由の代表格である職業選択の自由について解説します。
みなさんは、規制目的二分論という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
憲法の教科書では必ず登場する考え方ですが、「消極目的なら厳しく、積極目的なら緩やかに審査する」という結論だけを丸暗記している人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際の判例を読むと、目的だけで審査の厳しさが決まっているわけではないことがわかります。
そこで今回は、職業選択の自由の基本から、薬事法判決と小売市場判決という2つの重要判例、そして目的二分論の考え方とその限界までを丁寧に解説したいと思います。
具体的には、
第1章で職業選択の自由の意義について、
第2章で職業の自由に対する規制について、
第3章で規制目的二分論について、
第4章で目的二分論だけでは説明できない判例について、
それぞれ解説します。
基礎知識をわかりやすく簡潔に説明しますので、初学者の方はもちろん、憲法をひと通り学んだ方のまとめ用にも最適です。
第1章 職業選択の自由の意義
この章では、職業選択の自由がどのような権利で、なぜ保障されているのかを解説します。
まずは条文を読んでみましょう。
憲法
第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。
②(略)
このように、職業選択の自由は憲法22条1項で保障されています。
1-1 職業選択の自由と職業活動の自由
条文には「職業選択の自由」としか書かれていませんが、実は、この条文はもう少し広い範囲の自由を保障していると考えられています。
例えば、弁護士になるためには、司法試験に合格しなければなりません。
「弁護士になりたい」と思っても、試験に合格しなければ弁護士という職業を選ぶことはできないのですから、これは職業選択の自由に対する制約です。
他方で、弁護士になった後も、広告の内容や事件の紹介を受ける方法などについて、様々なルールが定められています。
これは、弁護士という職業を選ぶことはできたものの、その職業をどのように行うかについて制約を受けているということです。
せっかく職業を選ぶことができても、その職業を自由に行うことができなければ意味がありませんよね。
そこで、薬事法判決(最大判昭和50年4月30日)は、憲法22条1項が「狭義における職業選択の自由のみならず、職業活動の自由の保障をも包含している」としました。
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・職業選択の自由(狭義) →どの職業に就くかを選ぶ自由(開業、継続、廃止の自由) ・職業活動の自由(営業の自由) →選んだ職業をどのように行うかの自由 |
この2つを合わせて「職業の自由」と呼ぶこともあります。
どちらが制約されているかによって審査の厳しさが変わり得るので、この区別はしっかり押さえておきましょう。
1-2 職業の自由はなぜ保障されるのか
では、なぜ職業の自由は憲法上の権利として保障されているのでしょうか?
薬事法判決は、職業について以下のとおり判示しています。
「職業は、人が自己の生計を維持するためにする継続的活動であるとともに、分業社会においては、これを通じて社会の存続と発展に寄与する社会的機能分担の活動たる性質を有し、各人が自己のもつ個性を全うすべき場として、個人の人格的価値とも不可分の関連を有するものである。」
少し長い文章ですが、分解すると、職業には以下の3つの側面があるということです。
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①生計の維持 →生活していくためのお金を稼ぐ手段 ②社会的機能分担 →それぞれが自分の仕事を担うことで社会が成り立つ ③人格的価値 →自分の個性を発揮し、自己実現をする場 |
職業の自由は経済的自由に分類されますが、③のように、自己実現という精神的自由に近い側面もあるということがポイントです。
「職業の自由はお金の問題にすぎないから、いつも緩やかに審査すればよい」とはいえない理由がここにあります。
第2章 職業の自由に対する規制
2-1 職業の自由が規制を受けやすい理由
他方で、職業の自由は、表現の自由などの精神的自由と比べて、広く規制を受けやすい権利でもあります。
薬事法判決は、以下のとおり判示しています。
「職業は、前述のように、本質的に社会的な、しかも主として経済的な活動であつて、その性質上、社会的相互関連性が大きいものであるから、職業の自由は、それ以外の憲法の保障する自由、殊にいわゆる精神的自由に比較して、公権力による規制の要請がつよく、憲法二二条一項が「公共の福祉に反しない限り」という留保のもとに職業選択の自由を認めたのも、特にこの点を強調する趣旨に出たものと考えられる。」
例えば、医薬品を売る仕事を誰でも自由に始められるとしたら、品質の悪い薬が出回って国民の健康が害されるおそれがあります。
このように、職業は他人や社会と深く関わる活動なので、規制の必要性が高いということです。
条文にわざわざ「公共の福祉に反しない限り」と書かれているのも、このような趣旨であると説明されています。
以前の記事で、精神的自由は厳格に審査し、経済的自由は緩やかに審査するという「二重の基準論」を紹介しました。
【憲法入門1】憲法答案の書き方 三段階審査と違憲審査基準
上記の判示は、この二重の基準論の根拠の1つとされることがあります。
もっとも、薬事法判決は、職業の規制には様々な目的や態様があるので、合憲かどうかを一律に論じることはできないとしています。
そして、
「具体的な規制措置について、規制の目的、必要性、内容、これによつて制限される職業の自由の性質、内容及び制限の程度を検討し、これらを比較考量したうえで慎重に決定されなければならない。」
としました。
この部分は、後で紹介する要指導医薬品判決(最判令和3年3月18日)でもそのまま引用されている、職業の自由の基本的な判断枠組みです。
2-2 許可制という強力な規制
職業の規制の中でも特に強力なのが、許可制です。
許可制とは、法律で定めた条件を満たし、許可を受けた者だけにその職業を認め、それ以外の者には禁止するという仕組みです。
薬事法判決は、許可制について以下のとおり判示しています。
「一般に許可制は、単なる職業活動の内容及び態様に対する規制を超えて、狭義における職業の選択の自由そのものに制約を課するもので、職業の自由に対する強力な制限であるから、その合憲性を肯定しうるためには、原則として、重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であることを要し」
つまり、許可制は、職業活動の自由ではなく、職業選択の自由そのものを制約する強力な規制なので、原則として慎重に審査すべきだということです。
ここで注意してほしいのが、薬事法判決で問題となった規制は「距離制限」だったという点です。
距離制限とは、既存の薬局から一定の距離内では新しく薬局を開けないというものです。
一見すると、別の場所で開業すればよいので、「どこで営業するか」という職業活動の自由の問題にすぎないようにも思えます。
しかし、薬事法判決は、
「薬局等を自己の職業として選択し、これを開業するにあたつては、経営上の採算のほか、諸般の生活上の条件を考慮し、自己の希望する開業場所を選択するのが通常であり、特定場所における開業の不能は開業そのものの断念にもつながりうるものである」
として、距離制限を職業選択の自由そのものに対する強力な制限であると評価しました。
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一見すると職業活動の自由に対する規制でも、 採算がとれずに開業そのものを断念せざるを得ないほど強力であれば、 ↓ 実質的には職業選択の自由の制約と評価できる |
この考え方は答案でもよく使うので、ぜひ覚えておきましょう。
第3章 規制目的二分論
この章では、職業の自由の分野で最も有名な考え方である、規制目的二分論について解説します。
規制目的二分論とは、簡単にいうと、規制の目的によって審査の厳しさを変えるという考え方です。
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・消極目的規制 →国民の生命・健康に対する危険を防止するなど、社会公共に対する弊害を防止するための規制 →比較的厳しく審査する ・積極目的規制 →経済的弱者の保護など、社会経済政策を実現するための規制 →緩やかに審査する |
この考え方は、薬事法判決と小売市場判決という2つの判例を対比することで説明されています。
それぞれ見ていきましょう。
3-1 薬事法判決(消極目的規制)
まずは薬事法判決(最大判昭和50年4月30日)です。
■事案
スーパーマーケットを経営する会社が、広島県で医薬品の一般販売業の許可を申請しました。
ところが、当時の薬事法と県の条例は、既存の薬局等からおおむね100メートル以内では新たな開設を認めないという距離制限(適正配置規制)を定めていたため、許可されませんでした。
そこで、会社は、この距離制限は憲法22条1項に違反するとして、不許可処分の取消しを求めて訴えたのです。
■判旨
薬事法判決は、先ほど紹介した許可制についての判示に続けて、以下のとおり判示しました。
「それが社会政策ないしは経済政策上の積極的な目的のための措置ではなく、自由な職業活動が社会公共に対してもたらす弊害を防止するための消極的、警察的措置である場合には、許可制に比べて職業の自由に対するよりゆるやかな制限である職業活動の内容及び態様に対する規制によつては右の目的を十分に達成することができないと認められることを要する」
つまり、消極目的の許可制が合憲となるためには、
- 重要な公共の利益のために必要かつ合理的な措置であること
- よりゆるやかな規制では目的を十分に達成できないこと
が必要だということです。
2つ目の要件は、いわゆるLRA(より制限的でない他の選びうる手段)の審査です。
学説では、このような審査を「厳格な合理性の基準」と呼んでいます。
以前の記事で紹介した、3つの違憲審査基準のうち真ん中の基準にあたるものです。
では、薬局の距離制限の目的は何だったのでしょうか?
薬事法判決は、立法の経緯などから、距離制限の主な目的は、薬局の乱立による過当競争で経営が不安定になり、その結果として不良医薬品が供給される危険を防止すること、すなわち国民の生命及び健康に対する危険の防止という消極目的であると認定しました。
その上で、
- 不良医薬品の供給は、薬事法による品質管理の規制や、行政上の監督体制の強化などによって防止できる
- 競争の激化によって経営が不安定になり、不良医薬品が供給されるという因果関係は、確実な根拠に基づくものとはいえない
などとして、距離制限は必要かつ合理的な規制とはいえず、違憲であると判断したのです。
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薬事法判決の審査の流れ ①職業選択の自由の制約 ②許可制(距離制限)という強力な制限 ③消極目的規制 ↓ 厳格な合理性の基準で審査 ↓ 違憲 |
3-2 小売市場判決(積極目的規制)
次に、小売市場判決(最大判昭和47年11月22日)です。
■事案
小売商業調整特別措置法は、一定の地域で小売市場(1つの建物に複数の小売店が入る市場)を開設するには知事の許可が必要であると定めており、大阪府では、既存の小売市場からおおむね700メートル以内では許可しないという距離制限の基準が設けられていました。
被告人は、この許可を受けずに小売市場を開設したとして起訴され、距離制限は憲法22条1項に違反すると主張しました。
■判旨
小売市場判決は、まず、国が「積極的に、国民経済の健全な発達と国民生活の安定を期し」、社会経済全体の調和的発展を図るために、個人の経済活動を規制することも、憲法は許容しているとしました。
その上で、このような社会経済政策の分野では、どのような規制が適切かを判断するには、社会経済の実態についての正確な基礎資料と、政策的な技術的判断が必要であるから、主として立法府の裁量的判断にまつほかないとして、以下のとおり判示しました。
「裁判所は、立法府がその裁量権を逸脱し、当該法的規制措置が著しく不合理であることの明白である場合に限つて、これを違憲として、その効力を否定することができる」
これを「明白性の原則」といいます。
「著しく不合理」であることが「明白」な場合に限って違憲になるのですから、非常に緩やかな審査です。
そして、この距離制限は、経済的基盤の弱い小売商を過当競争による共倒れから守るという経済的弱者の保護を目的とする積極目的規制であり、著しく不合理であることが明白とはいえないとして、合憲と判断しました。
3-3 なぜ目的によって審査の厳しさが変わるのか
ここまでの2つの判例を比べてみましょう。
|
判例 |
薬事法判決 |
小売市場判決 |
|
規制 |
距離制限(許可制) |
距離制限(許可制) |
|
目的 |
国民の生命・健康の保護(消極目的) |
経済的弱者の保護(積極目的) |
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審査基準 |
厳格な合理性の基準 |
明白性の原則 |
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結論 |
違憲 |
合憲 |
どちらも距離制限を内容とする許可制で、制約の強さは同じです。
それなのに結論が分かれたのは、規制の目的が異なったからだと説明されています。
ここで、「国民の命や健康を守るための規制の方が、厳しく審査されるのはおかしいのではないか?」と疑問に思った方もいるかもしれません。
これには、主に次のような説明がされています。
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・消極目的規制 →危険を防止するために規制が本当に必要かどうかは、裁判所でも判断しやすい ・積極目的規制 →どの産業をどの程度保護するかといった社会経済政策は、専門的・政策的な判断が必要なので、国会の判断を尊重すべき |
つまり、規制目的二分論は、裁判所がどこまで立法府の判断に踏み込むべきか(立法裁量の広さ)を決めるための考え方だということです。
以前の記事で紹介した、違憲審査基準を決める要素のうち「立法裁量」にあたる部分だと理解するとよいでしょう。
第4章 目的二分論だけでは説明できない判例
ここまで読むと、「規制の目的が消極か積極かさえわかれば、審査基準が決まる」と思うかもしれません。
しかし、その後の判例を見ると、最高裁は、目的二分論を機械的に当てはめているわけではありません。
この章では、目的二分論だけでは説明できない代表的な判例を3つ紹介します。
4-1 公衆浴場判決
公衆浴場(銭湯)についても、既存の公衆浴場から一定の距離内での開業を認めない距離制限がありました。
最高裁は、この距離制限を何度も合憲と判断していますが、その理由付けは時代によって変化しています。
まず、昭和30年の判決(最大判昭和30年1月26日)は、公衆浴場は「多数の国民の日常生活に必要欠くべからざる、多分に公共性を伴う厚生施設」であるとして、公衆浴場が乱立すると経営が不合理になり、衛生設備の低下などを招くおそれがあることを理由に、合憲としました。
これは、衛生の確保という消極目的に近い理由付けです。
これに対して、平成元年の判決(最判平成元年1月20日)は、自家風呂の普及によって公衆浴場の経営が困難になっている状況を踏まえ、公衆浴場業者の経営の安定を図り、住民に不可欠な公衆浴場を確保するという積極目的の規制であるとして、合憲としました。
さらに、同じ年の別の判決(最判平成元年3月7日)は、規制の目的は国民保健及び環境衛生の確保にあるとともに、既存業者の経営の安定を図ることで公衆浴場自体を確保することも目的としているとして、消極目的と積極目的の両方を認めて合憲としています。
このように、同じ規制でも目的の捉え方は変わり得ますし、2つの目的が併存することもあるのです。
現実の法律の目的は、必ずしも「消極」か「積極」かにきれいに分けられるものではないということですね。
なお、公衆浴場判決については、薬事法判決と結論が分かれた理由を解説した記事もありますので、ぜひ参考にしてください。
同じ距離制限なのに薬事法判決と公衆浴場判決で結論が異なる理由の解説。公衆浴場判決の理解が意外と重要という話。
4-2 酒類販売免許制判決
次に、酒類販売免許制判決(最判平成4年12月15日)です。
酒類(お酒)を販売するには、税務署長の免許が必要とされています。
この免許制の目的は、酒税を確実に徴収することにありました。
最高裁は、
「租税の適正かつ確実な賦課徴収を図るという国家の財政目的のための職業の許可制による規制については、その必要性と合理性についての立法府の判断が、右の政策的、技術的な裁量の範囲を逸脱するもので、著しく不合理なものでない限り、これを憲法二二条一項の規定に違反するものということはできない。」
として、緩やかな基準で審査し、合憲と判断しました。
ここで問題となった「財政目的」は、消極目的とも積極目的ともいえないものです。
それでも、租税の分野は専門的・技術的な判断が必要であることから、立法府の裁量を広く認めたのです。
また、この判決は、お酒について、
「致酔性を有する嗜好品である性質上、販売秩序維持等の観点からもその販売について何らかの規制が行われてもやむを得ないと考えられる商品である酒類の販売の自由にとどまる」
とも指摘しています。
このように、どのような商品やサービスを扱う職業なのかも、審査の厳しさに影響し得るのです。
4-3 要指導医薬品判決
最後に、比較的新しい判例である要指導医薬品判決(最判令和3年3月18日)です。
■事案
要指導医薬品とは、医療用から市販薬に転用されたばかりの薬など、市販薬としての安全性の評価がまだ確定していない医薬品のことです。
法律は、要指導医薬品を販売する際には、薬剤師が対面で情報提供や指導を行わなければならないと定めていたため、インターネットで販売することができませんでした。
そこで、インターネットで医薬品を販売する事業者が、この規制は憲法22条1項に違反すると主張したのです。
■判旨
この規制は、国民の生命・健康に対する侵害を防止するという消極目的の規制でした。
そうすると、目的二分論からは、薬事法判決と同じように厳格な合理性の基準で審査すべきだと考えることもできそうです。
しかし、最高裁は、要指導医薬品の市場規模が一般用医薬品等全体の1%に満たないことや、一定期間が経過すれば一般用医薬品に移行するため規制の期間も限定されていることを指摘して、
「職業選択の自由そのものに制限を加えるものであるとはいえず,職業活動の内容及び態様に対する規制にとどまるものであることはもとより,その制限の程度が大きいということもできない。」
としました。
その上で、規制の目的、必要性、内容、制限される職業の自由の性質などを比較考量し、立法府の合理的裁量の範囲を超えるものではないとして、合憲と判断したのです。
この判決からわかるのは、たとえ消極目的の規制であっても、
- 職業選択の自由ではなく職業活動の自由に対する規制であること
- 制限の程度が大きくないこと
といった事情があれば、薬事法判決のような厳格な審査にはならないということです。
つまり、薬事法判決で厳格な審査がされたのは、「消極目的だったから」だけではなく、「職業選択の自由に対する許可制という強力な制限だったから」でもあるということです。
第5章 まとめ
まず、憲法22条1項は、職業選択の自由だけでなく、職業活動の自由(営業の自由)も保障しています。
職業は、生計の維持、社会的機能分担、人格的価値という3つの側面を持つ重要なものですが、社会的相互関連性が大きいため、精神的自由と比べて規制を受けやすいとされています。
職業の自由の審査の厳しさについては、規制の目的によって審査の厳しさを変える規制目的二分論が有名です。
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判例 |
薬事法判決 |
小売市場判決 |
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規制 |
距離制限(許可制) |
距離制限(許可制) |
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目的 |
国民の生命・健康の保護(消極目的) |
経済的弱者の保護(積極目的) |
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審査基準 |
厳格な合理性の基準 |
明白性の原則 |
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結論 |
違憲 |
合憲 |
もっとも、公衆浴場判決、酒類販売免許制判決、要指導医薬品判決のように、最高裁は目的二分論を機械的に当てはめているわけではありません。
答案では、規制の目的だけでなく、以下の要素を総合的に考慮して審査基準を決めるようにしましょう。
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①制約される自由 →職業選択の自由か、職業活動の自由か ②制約の強さ →許可制か、開業そのものを断念させるほど強力か ③規制の目的 →消極目的か、積極目的か、それ以外(財政目的など)か |
この記事では、初学者の方にもわかりやすいように、一般的な考え方をざっくりと解説しています。
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LINE特典動画では、私が提唱する「解法パターン」とその活用方法の一端をお見せします。
動画①では、「判例の射程とは何か」を予備試験の過去問を題材にしながら分かりやすく解説します。この解説を聞いた受講生からは「判例の射程の考え方・書き方がようやくわかった!」との言葉をいただいております。
動画②では、試験開始前に見ることで事案分析の精度が格段にあがるルーズリーフ一枚に収まる目的手段審査パターンまとめです。
動画③では、どの予備校講師も解説をぼやかしている生存権の解法を明確にお渡しします。
そして、動画④では③の生存権の解法パターンを使って、難問と言われた司法試験の憲法の過去問の解説をします。
是非、解説動画を受け取って、世界を変えてください。