【刑事訴訟法入門7】令状に基づく捜索・差押えとは何か──捜索範囲・差押目的物の特定・電磁的記録媒体への対応を徹底解説
この記事を読んで理解できること
「捜索令状があれば、部屋にある物はすべて調べられるの?」
「パソコンの中身もそのまま差し押さえられる?」
「令状に書いていない物を差し押さえるのは違法じゃないの?」
刑事訴訟法を学ぶ中で、こうした疑問を持った方は多いのではないでしょうか。
令状に基づく捜索・差押えは、捜査機関が証拠を収集するための最も重要な強制処分の一つです。
憲法35条はプライバシーや住居の不可侵を保障しており、捜索・差押えにはそれを正当化するだけの理由と手続が求められます。
同時に、実際の捜査現場ではさまざまな問題が生じており、裁判所はその適法性について多くの重要判断を積み重ねてきました。
本記事では、令状による捜索・差押えの実体的要件に始まり、令状の発付要件と記載事項、捜索・差押えの範囲と実施手続、電磁的記録媒体(コンピュータ・フロッピーディスク等)をめぐる現代的問題まで、予備試験・司法試験に必要な知識を体系的に解説します。
この記事で学べること
- 【初級】令状に基づく捜索・差押えの意義と憲法35条の構造
- 【初中級】捜索・差押えの実体的要件(理由と必要性)
- 【中級】令状の記載事項と対象の特定──判例の判断基準
- 【中上級】捜索・差押えの実施手続と範囲をめぐる判例分析
- 【中上級】電磁的記録媒体の捜索・差押えをめぐる現代的問題
第1章 令状に基づく捜索・差押えとは何か
1-1 定義と意義
捜索とは、証拠物・没収物その他押収すべき物を発見する目的で、人の身体・物・住居その他の場所について行う強制的な探索行為をいいます。
差押えとは、証拠物・没収すべき物等について、その占有を強制的に取得する処分をいいます(刑訴法99条・218条)。
この両者はしばしば一体として「捜索・差押え」として実施されますが、理論的には別個の処分です。
捜索は対象物を発見するための行為であり、差押えは発見した対象物の占有を取得する行為です。
令状に基づく捜索・差押えは、憲法35条が定める令状主義の下で、裁判官が発付した令状に基づいて行われます。
これが捜索・差押えの原則的形態です。例外として逮捕に伴う捜索・差押え(刑訴法220条)等がありますが、本記事では令状に基づく場合を扱います。
【刑事訴訟法入門8】逮捕に基づく捜索・差押えの意義と無令状の根拠
1-2 憲法35条の構造
令状に基づく捜索・差押えの根拠条文は憲法35条です。
憲法35条1項
「何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。」
憲法35条2項
「捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。」
1項からは、捜索・差押えの実体的要件として「正当な理由」が必要であること、手続的要件として令状によることが必要であることが導かれます。
令状には「捜索する場所及び押収する物」を明示することが求められており(特定の要求)、これが後述する対象の特定問題につながります。
2項からは、捜索・差押えには裁判官(司法官憲)の発する令状が必要であること(令状主義)、および同一事件であっても場所・機会を異にする場合には別々の令状が必要となること(各別の令状原則)が導かれます。
1-3 なぜ試験で重要か
第一に、憲法35条の令状主義という憲法上の原則と、実際の捜査の必要性とが衝突する場面を含む論点であることです。
特に令状の対象の特定(差押目的物・捜索場所の特定)の問題は、令状主義の核心に関わります。
第二に、デジタル化が進む現代において、電磁的記録媒体(コンピュータ・スマートフォン等)の捜索・差押えという現代的問題を含む論点であることです。
この問題は実際の事件でも頻出であり、平成23年の刑訴法改正でも重要な改正がなされています。
詳しくは5-4で解説します。
第三に、違法収集証拠排除法則と直結する論点であることです。
令状なき捜索・差押えや令状の範囲を超えた捜索・差押えによって収集された証拠は、その証拠能力が問われます。
第2章 捜索・差押えの実体的要件
2-1 捜索・差押えの理由
憲法35条1項が定める「正当な理由」の内容は、刑訴法において具体化されています。
まず、捜索・差押えに共通する要件として、特定の犯罪事実の嫌疑が存在することが必要です(刑訴規則156条1項)。
差押えについては、差押目的物が特定の犯罪事実と関連するものであることが求められます。
刑訴法99条1項(222条1項により捜査段階でも準用)が、差押えの対象物として「証拠物又は没収すべき物と思料するもの」を挙げているのは、これを具体化したものです。
捜索の理由は、対象となる人の身体・物・住居その他の場所に差押目的物が存在する蓋然性があることです。
被疑者以外の者の身体・物・住居については、刑訴法102条2項(222条1項により捜査段階でも準用)が「押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り」捜索できるとしており、より高い蓋然性が求められています。
2-2 捜索・差押えの必要性
刑訴法218条1項は「犯罪の捜査をするについて必要があるとき」に捜索・差押えができるとしており、「理由」に加えて必要性も要件とされています。
必要性の判断は、犯罪の態様・軽重、差押物の証拠としての価値・重要性、差押物が隠滅毀損されるおそれの有無、差押えによって受ける被差押者の不利益の程度その他諸般の事情を総合的に考慮して決定されます(最決昭44・3・18刑集23・3・153参照)。
第3章 令状の発付と記載事項
3-1 令状の発付手続
捜索・差押えを行うためには、原則として、裁判官が発付する捜索差押許可状(令状)が必要です(刑訴法218条1項・憲法35条)。
裁判官は、令状請求書に記載された捜索場所・差押目的物について「正当な理由」が認められるか否かを審査し、それが認められたものだけを令状に記載します。
この令状審査こそが令状主義の中核をなす裁判官による事前審査の内容です。
3-2 対象の特定の趣旨
令状において対象の特定が要求される趣旨は、以下の3点にあります。
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趣旨 |
内容 |
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① 令状審査の実質化 |
「正当な理由」の存在についての裁判官による実質的認定を確保するとともに、捜査機関による捜索・差押えの権限を、裁判官によって事前に確認された範囲に限定する |
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② 権限濫用の抑制 |
捜査機関に対して許可された捜索・差押えの権限の範囲を明らかにし、権限の濫用を抑制する |
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③ 対象者への告知 |
処分の対象者に対して受忍すべき範囲を明らかにし、処分の適法性を争う機会を付与する |
3-3 差押目的物の特定──最大決昭33・7・29
令状における差押目的物の特定の程度についてリーディングケースとなっているのが、最大決昭33・7・29刑集12・12・2776(いわゆる日教組事件)です。
この事件では、地方公務員法違反事件に関して、「会議議事録、闘争日誌、指令、通達類、連絡文書、報告書、メモその他本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件」という記載のある令状の適法性が問題となりました。
最高裁は、差押目的物の特定について、具体的な例示があり差押目的物はそれに準ずるものに限られるという意味で対象は特定されているとして、本件令状は物の明示に欠くるところはないとしました。
この判決は、差押目的物の特定について、具体的な例示とその例示に準ずるものへの限定という方法によって特定性を認めたものです。
「本件に関係ありと思料される一切の文書及び物件」という包括的な記載も、先行する具体的例示と組み合わせることにより特定性が認められるという考え方を示した点に意義があります。
3-4 令状の罪名記載と各別の令状原則
令状への罪名記載は、刑訴法219条1項が求める事項ですが、憲法35条が直接求めるものではないとされています(前記最大決昭33・7・29)。
もっとも実務上は、差押目的物をより明確にする観点から、令状に罪名のみならず罰条・被疑事実またはその要旨を記載することが少なくないとされています。
各別の令状原則(憲法35条2項)との関係では、同一事件における複数場所の捜索についても、場所ごとに各別の令状が必要かが問題となります。
この点について、東京地判平21・6・9は、1個の令状に複数の捜索場所が明確に特定されており裁判官がそれぞれの場所について捜索を許容したことが明示されている場合には憲法35条2項の趣旨に反するものではないとしました。
第4章 捜索・差押えの実施
4-1 令状の執行方法
捜索・差押えを実施するにあたっては、処分を受ける者に対して令状を示さなければなりません(刑訴法110条・222条1項)。
令状はその執行を開始する前に呈示するのが原則ですが、それが不可能・不適当な場合が存在することも否定できません。
そのような場合の措置の適法性が問題とされたのが最決平14・10・4刑集56・8・507です。
この事件では、覚醒剤取締法違反の被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状の執行に際し、警察官が来意を告げることなくマスターキーで客室ドアを開けて室内に入り、その後直ちに令状を呈示して捜索・差押えを実施しました。
最高裁は、マスターキーによる入室は「捜索差押えの実効性を確保するために必要であり、社会通念上相当な態様で行われていると認められるから、刑訴法222条1項、111条1項に基づく処分として許容される」とし、令状の呈示についても、「前記事情の下においては、警察官らが令状の執行に着手した上その直後に呈示を行うことは、法意にもとるものではなく、捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないところであって、適法というべきである」と判示しました。
4-2 捜索の範囲──場所と身体・携帯品の関係
捜索は令状に記載された対象に限られます。
「場所」に対する捜索令状によって、そこに置かれた物の中を捜索できることには争いがありません。
それは、場所という概念の中に、そこに置かれた物が含まれていると考えられるからです。
問題となるのは、場所に対する捜索令状によって、その場所にいる人の身体や携帯品を捜索できるかという点です。
最決平6・5・11刑集47・2・237は、捜索の実施中にその場にいる者が差押目的物を着衣・身体に隠匿所持していると疑うに足りる相当な理由があり、許可状の目的とする差押えを有効に実現するためにその者の着衣・身体を捜索する必要が認められる具体的な状況の下においては、その者の着衣・身体にも及ぶとしました(ただし身体の検査にまで及ばないことはいうまでもないとしています)。
また、場所の居住者が携帯する鞄等については、東京高決平6・5・11高刑集47・2・237は、場所に対する捜索令状によって捜索できるとしました。
ただし、その場所にたまたま居合わせた第三者の携帯品については、例外的に別個の捜索令状を必要とすると解されています。
4-3 差押えの範囲──令状記載の差押目的物との対応
実際に差し押さえられた物が令状記載の差押目的物に該当するといえるためには、以下の2つの要件が満たされていることが必要です。
- 差し押さえられた物が、令状の記載自体から導かれる差押目的物の類型性に合致していること(例えば、「拳銃」という記載にナイフは含まれない)
- 差し押さえられた物が、差押えの根拠となった被疑事実と関連性を有すること(例えば、ある殺人事件について発付された差押令状に「拳銃」という記載がなされていたとしても、今回の凶器ではないことが明らかな拳銃はそれに該当しない)
第2要件(被疑事実との関連性)の判断が問題とされた判例として、最判昭51・11・18判時837・104があります。
暴力団甲組の構成員Xによる恐喝事件の捜索で発見されたメモが令状記載の「暴力団を標章するメモ等」に該当するかが争われました。
最高裁は、当該メモが甲組の性格・事件の組織的背景を解明するための証拠として関連性を有するとして差押えを適法としました。
この判決は、被疑事実との関連性は、犯罪事実自体を証明するための直接証拠に限らず、動機等の間接事実の証拠や情状に関する証拠となる場合も含まれるという広い捉え方を前提とするものです。
第5章 電磁的記録媒体の捜索・差押え
5-1 問題の所在
現行法上、差押えの対象は有体物であり、有体物たる記録媒体に記録された情報自体は捜索・差押えの対象とはなりません。
ところが近年、様々な情報が電磁的データとして記録されるようになり、電磁的記録媒体が刑事手続において証拠として用いられることが増加しています。
電磁的記録媒体(コンピュータ・フロッピーディスク等)は書類と異なり、そこに記録された内容につき直接の可視性・可読性がないため、記録されたデータをパソコンのディスプレイ上に読みだしたり、プリントアウトしたりしなければ、その中に何が記録されているかがわかりません。
そのため、捜査機関が記録媒体の内容を確認しないまま差し押さえることができるのかという問題が生じます。
5-2 記録内容を確認しないままの差押え──最決平10・5・1
この問題を正面から扱ったのが最決平10・5・1刑集52・4・275です。
事案は、警察が、差し押さえるべき物を「組織的犯行であることを明らかにするための磁気記録テープ、光磁気ディスク、フロッピーディスク、パソコン一式等」等とする捜索差押許可状を得て、捜索場所を捜索した際、発見したフロッピーディスク108枚及びパソコン1台を、そこに記録されている情報の内容を確認することなく差し押さえたというものです。
警察は、当該団体がコンピュータを起動させるとそこに記録されている情報が瞬時に消去されるソフトを開発しているとの情報を得ていました。
弁護人は、内容を確認しないままの差押えは憲法35条の令状主義に違反すると主張しました。
これに対し最高裁は次のように判示しました。
「令状により差し押さえようとするパソコン、フロッピーディスク等の中に、被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊される危険があるときは、内容を確認することなし右パソコン、フロッピーディスク等を差し押さえることが許されるものと解される。」
この決定は、電磁的記録媒体の差押えを適法とするための要件として、
①令状記載の差押目的物中に被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性
②その場で内容を確認していたのでは記録された情報を損壊される危険
という2点を示しました。
5-3 第三者のデータが含まれる場合──東京地決平10・2・27
東京地決平10・2・27判時1637・152の事案では、わいせつ図画公然陳列事件において、警察官が捜索差押許可状に基づき、インターネット接続会社(A社)のサーバーと同社と会員契約を結んだ428人分のデータが記録されたフロッピーディスクを差し押さえました。
A社は準抗告を申し立て、東京地裁は、本件ホームページを開設した被疑者に関するデータについては関連性・必要性が認められるが、その余の会員に関するデータについては「アダルトホームページの開設希望者に限定したところで、本件被疑事実との関連性を認めがたく、差押えの必要性は認められない」として差押えを取り消しました。
電磁的記録媒体は書面と比べて記憶容量が非常に大きいため、被疑事実とは無関係な大量のデータを含んだかたちで差押えが行われる可能性があります。
差押えによる不利益が極めて大きいため、差押えの必要性(相当性)が否定されるという理由で、そうした差押えを違法とするという考え方は成り立ちうるものです。
5-4 平成23年刑訴法改正──記録命令付差押え
電磁的記録に関する問題に対応するため、平成23年の刑訴法改正により、記録命令付差押えという新たな処分が創設されました(刑訴法99条の2)。
これは、電磁的記録を保管する者その他電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて、必要な電磁的記録を他の記録媒体に記録させ、または印刷させたうえで、当該記録媒体を差し押さえるというものです。
そのためには裁判官の令状が必要であり(218条1項)、令状には「記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者」を記載することが必要とされています(219条1項)。
ただし、この記録命令は物理的に強制できるものではなく、相手方がそれに応じない場合の制裁規定も置かれていません。
また同改正では、差押えの執行方法の整備も行われました(刑訴法222条1項・110条の2)。
これにより、差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体(例えばコンピュータ)であるときは、その差押えに代えて、そこに記録された電磁的記録を他の記録媒体(CD-R等)に複写等したうえで、その記録媒体を差し押さえることが認められるようになりました。
第6章 試験答案の構成方法
6-1 論点の整理
令状に基づく捜索・差押えをめぐる問題を答案で論じる際には、問題となっている局面を正確に把握することが出発点となります。
主な論点は以下のとおりです。
|
論点 |
検討内容 |
参照条文・判例 |
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令状の対象特定 |
差押目的物・捜索場所の特定の程度が足りるか |
憲法35条・最大決昭33・7・29 |
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差押えの関連性 |
差し押さえられた物が被疑事実と関連性を有するか |
刑訴法99条1項・最判昭51・11・18 |
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捜索範囲 |
場所令状で身体・携帯品まで捜索できるか |
最決平6・9・8・最決平6・5・11 |
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令状呈示の時期 |
執行開始前の令状呈示が困難な場合の措置 |
刑訴法110条・最決平14・10・4 |
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電磁的記録媒体 |
内容確認なしの差押えの可否 |
最決平10・5・1 |
6-2 差押えの違法を問う問題の答案構成
差押えの違法性が問われる問題では、
①令状の対象の特定(差押目的物が特定されているか)
②当該物が令状記載の差押目的物に該当するか(類型性・関連性)
という2段階の検討が基本です。
【答案構成の流れ】
① 問題提起:差し押さえられた物が令状に基づく差押えとして適法かを問う
② 規範定立:令状による差押えには(ア)令状記載の差押目的物の類型性への合致と(イ)被疑事実との関連性が必要であることを示す
③ 当てはめ①:令状記載の差押目的物の記載が十分特定されているか(最大決昭33・7・29の基準)
④ 当てはめ②:実際に差し押さえられた物が令状記載の類型に合致し、被疑事実との関連性があるか
⑤ 結論:適法・違法の結論を出したうえで、違法の場合には証拠能力の問題へ
6-3 電磁的記録媒体の差押えを問う問題の答案構成
電磁的記録媒体の差押えが問われる問題では、最決平10・5・1の示した要件に沿って論じることが基本です。
【答案構成の流れ】
① 問題提起:電磁的記録媒体の内容を確認しないまま差し押さえることが令状主義(憲法35条)に違反しないかを問う
② 規範定立:最決平10・5・1を引用し、(ア)被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性と(イ)内容確認による損壊の危険という2要件を示す
③ 当てはめ:具体的事実へのあてはめ
④ 第三者データが含まれる場合:差押えの必要性(相当性)の観点から検討する
⑤ 結論と証拠能力への接続
まとめ
令状に基づく捜索・差押えについて、本記事では以下の点を解説しました。
- 捜索・差押えは憲法35条の令状主義の下で、「正当な理由」と令状の対象特定が必要
- 令状における差押目的物の特定は、具体的な例示とその例示に準ずるものへの限定という方法でも認められる(最大決昭33・7・29)
- 差し押さえられた物が令状の差押目的物に該当するには、類型性への合致と被疑事実との関連性の2要件が必要(最判昭51・11・18)
- 場所に対する捜索令状の効力は、一定の条件下で、その場所にいる者の着衣・身体にも及ぶ(最決平6・9・8)
- 電磁的記録媒体の内容確認なしの差押えは、被疑事実に関する情報が記録されている蓋然性と損壊の危険がある場合に許容される(最決平10・5・1)
- 平成23年刑訴法改正により記録命令付差押え(刑訴法99条の2)が創設された
次回記事では、逮捕に基づく捜索・差押えを解説します。


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