【刑法各論入門6】略取・誘拐罪とは?用語の違い・成立要件・重要判例を分かりやすく解説
目次
この記事を読んで理解できること
- 略取と誘拐の違い―入門者が最初に混乱する3つの用語
- 刑法各論の拐取罪の全体像を条文で把握する
- 成立要件の入門解説―構成要件を4段階で理解する
- 予備試験合格者が実践する略取・誘拐罪の勉強法
この記事は、
「刑法各論の入門として略取・誘拐罪を理解したい」
「拐取罪の各類型(営利目的・身代金目的等)を整理したい」
という方におすすめの記事です。
刑法第33章には「略取、誘拐及び人身売買の罪」が規定されています。
刑法各論を学び始めた初学者の多くがつまずくテーマの一つが「略取・誘拐罪」です。
なぜなら、学習を進めていると、「略取」「誘拐」「拐取」と似た用語が登場し、さらに営利目的や身代金目的といった加重類型も存在するため、全体像が見えにくくなるからです。
しかし、これらは、決して難解なものではなく、正しい順序で整理すれば理解を深められます。
そのためには、次の4ステップで学習を進めることが特に重要です。
- 用語の整理
- 条文の体系理解
- 構成要件の分解
- 判例の理解
そこで、本記事では、
1章では、刑法各論における略取と誘拐の違い(つまずきやすいポイント中心に)
2章では、拐取罪の全体像
3章では、4段階で構成要件を理解する方法
4章では、予備試験合格者が実践する略取・誘拐罪の勉強法
を分かりやすく解説します。
この記事を読めば、略取・誘拐罪を体系的に理解することができ、論理的に説明できるようになります。
1章:略取と誘拐の違い―入門者が最初に混乱する3つの用語
略取・誘拐罪の学習において、多くの初学者が最初につまずくポイントが「用語」です。
刑法第33章の条文には「略取」「誘拐」という文言が登場します。
また、学習を進めると「拐取」という用語に出くわすこともあります。
それぞれがどのような関係にあるのかが分からないまま読み進めてしまうと、条文の理解が曖昧になり、その後、構成要件や判例を理解する際に大きな支障が生じてしまいます。
特に略取・誘拐罪の分野では、これらの用語が単なる言葉の違いではなく、犯罪の成立要件そのものに直結するため、最初の段階で丁寧に整理しておくことが重要です。
そこで、この章では、略取・誘拐罪が、そもそもどのような法益を保護しているのかを紹介した上で、各用語を解説します。
1-1:拐取罪の保護法益は「人の自由」
略取・誘拐罪(以下「拐取罪」と言います)の本質を理解するためには、まずその保護法益を理解することが重要です。
拐取罪が保護しているのは「人の自由」であるとされていますが、ここでいう自由とは単なる身体の自由ではなく、より広い意味を持つ概念です。
例えば、逮捕・監禁罪が保護するのは「身体的行動の自由」、すなわちその場から移動する自由や身体を拘束されない自由です。
これに対して、拐取罪が保護する自由は、それにとどまりません。
拐取罪の保護法益は、人が自らの意思に基づいて生活を送り、社会関係の中で行動することができるという、生活関係全体に及ぶ自由が含まれていると解されています。
具体的には、身体的行動の自由にとどまらず、監護者の監護権といった利益も含むと考えられています。
このように、略取・誘拐罪は、人を自己または第三者の支配下に移す行為を処罰する犯罪であり、被害者を現在の生活環境や社会関係から引き離す点に犯罪の本質があります。
そのため、拐取罪を理解する際には、単に「自由を奪ったかどうか」ではなく、「支配関係が移転したかどうか」という視点を持つことが重要です。
1-2:略取・誘拐・拐取の用語を整理する
次に、略取・誘拐・拐取という3つの用語の関係を整理します。
まず、「拐取」という言葉は誘「拐」と略「取」を含む総称概念です。
つまり、拐取という大きな枠の中に、「略取」と「誘拐」という二つの類型が存在することになります。
「略取」とは、暴行又は脅迫といった強制的な手段によって人を自己または第三者の支配下に置く行為を意味します。
典型的には、力ずくで人を連れ去るようなケースがこれに当たります。
これに対して、「誘拐」とは、欺罔や誘惑などの手段によって人を支配下に移す行為を意味します。
例えば、「遊びに行こう」と言って未成年者を連れ出し、そのまま帰さないようなケースが典型例です。
「誘拐」は、暴力のような直接的な強制は用いられませんが、被害者の判断を誤らせることによって結果的に支配下に置く点に特徴があります。
このように、略取と誘拐の違いは「手段の違い」と言えますが、一方でどちらも最終的には被害者を支配下に置く点で共通しています。
つまり、「略取」と「誘拐」は同一の犯罪目的を異なる手段で実現する類型であると言えます。
このような「拐取」「略取」「誘拐」という用語の意味を正確に理解することが、略取・誘拐罪の学習全体をスムーズに進めるための鍵となります。
2章:刑法各論の拐取罪の全体像を条文で把握する
略取・誘拐罪を正確に理解するためには、個々の条文をバラバラに覚えるのではなく、体系的に把握することが不可欠です。
拐取罪は、対象や目的に着目して複数の規定が存在します。
そのため、「何を対象とした拐取を処罰しようとしているのか」「どのような目的をもった行為を処罰の対象としているのか」という視点で整理することが重要です。
また、拐取罪の各行為は他の犯罪類型と関係する場合もあるので、それらの関係性も理解しておくことが重要です。
そこで、この章では、「対象」や「目的」に注目して拐取罪の構造を確認し、拐取罪の全体像を解説します。
2-1:刑法224〜228条の3の構造を図解する
拐取罪は、刑法224条から228条の3までに規定されています。
ここで重要なのは、これらの条文が単に並んでいるのではなく、基本類型→目的犯→加重結果犯という流れで構成されているという点です。
まず、刑法224条には、以下のとおり規定されています。
「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。」
刑法224条は、未成年者を対象とした拐取を処罰しています。
この条文では、特定の目的は要求されておらず、「未成年者を拐取する」という行為そのものが処罰対象となります。
つまり、ここでは客体が未成年者であることが重視されています。
なお、成人年齢は民法4条で定められており、「未成年者」とは18歳未満の者を指します。
次に刑法225条では、以下のように規定されています。
「営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。」
略取や誘拐の行為に及んだ場合、営利目的やわいせつ目的など特定の目的等がある場合には、より重い犯罪が成立します。
また、対象が未成年でなく成人であっても、特定の目的の下に拐取に及んだ者には、重い犯罪が成立することになる点が重要です。
さらに、刑法225条の2では、以下のように規定されています。
「近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。」
「人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする。」
身代金目的略取等罪が規定されており、法定刑も非常に重く設定されています。
これは、人質を取って金銭などの利益を要求する行為は、非常に悪質で被害者の自由だけでなく、他人の財産をも侵害する可能性があるため、特に重い刑罰が定められています。

また、「所在国外に移送する目的」で拐取した者は、刑法226条で処罰されます。
さらに、刑法226条の2では、人身売買罪について規定しています。
226条の3では、拐取された者や人身売買の対象となった者を所在国外に移送した者を処罰しています。
227条では、幇助する目的で、略取され、誘拐され、又は売買された者を引き渡し、収受し、輸送し、蔵匿し、又は隠避させた者を処罰しています。
この他、228条では未遂罪を、228条の2では拐取された場合の刑のを、228の3では、身の代金目的略取等に関する予備罪をそれぞれ定めています。
このように、拐取罪の体系は、「誰を対象とするか(未成年者か)」「どのような目的がある場合にどのような犯罪が成立するか」という点を意識すると整理しやすくなります。
2-2:未成年者略取・誘拐罪(224条)の基本
刑法224条は、以下のとおり規定しています。
「未成年者を略取し、又は誘拐した者は、三月以上七年以下の拘禁刑に処する。」
この罪の最大の特徴は、客体が「未成年者」であるという点にあります。
未成年者は一般的に判断能力が未成熟であり、自らの意思で適切な判断をすることが難しい場合が多いため、特に手厚く保護されるべき存在とされています。
そのため、成人の場合には問題とならないような行為であっても、未成年者に対して行われた場合には犯罪として評価されることがあります。
ここで重要なのは、未成年者の同意があったとしても、それだけで違法性が否定されるわけではないという点です。
未成年者の同意は、その判断能力の未熟さから、必ずしも自由で適切な意思決定に基づくものとは限りません。
そのため、未成年者の同意があっても、実質的に監護者の監督権を侵害する場合には、拐取罪の成立が認められます。
また、既遂となるためには、被害者を自己または第三者の支配下に置く程度の行為が必要とされます(被害者と一緒に歩き始めた時点で直ちに既遂にはなりませんが、未遂となる可能性はあります。)。
2-3:目的犯:営利目的等略取・誘拐罪(225条)
刑法225条は、以下のとおり規定しています。
「営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、一年以上十年以下の拘禁刑に処する。」
営利目的やわいせつ目的など、特定の目的を持って略取・誘拐を行った場合を処罰する規定です。
このように、犯罪の成立に一定の目的が要件となっている犯罪を「目的犯」と呼びます。
この条文の理解において重要なのは、「なぜ目的が加わると刑が重くなるのか」という点です。
営利目的とは、金銭的な利益を得るために拐取を行う場合を指します。
例えば、人を誘拐して身代金を要求するようなケースが典型です。
また、わいせつ目的とは、性的な目的で人を支配下に置く場合を意味します。
これらの目的は、単なる拐取行為よりも強い悪質性を持つため、より重い刑罰が科されることになります。
ここで注意すべきは、目的は主観的要素であるため、外部から直接確認することが難しいという点です。
そのため、実務では、例えば、被害者を連れ去った後の行動や準備行為、前後の事情から目的を推認することになります。
また、この条文においても、「支配関係の移転」が成立していることが前提となります。
そのため、単に目的を持っていたとしても、実際に被害者を支配下に置いていなければ、この罪は成立しません。
このように、刑法225条は、拐取行為に特定の目的が付加された規定で重く評価しているという点が重要です。
さらに、この類型は、他の犯罪の検討と関連する場合も多くあります。
例えば、わいせつの目的で人を誘拐し、その場で強制わいせつ行為をした場合は、通常わいせつ目的の誘拐とわいせつ行為は目的と手段となるため、牽連犯の関係(刑法54条1項後段)にあるとされています。
また、営利の目的で人を誘拐し、被誘拐者を利用して第三者を欺罔し、財物をだまし取った場合は、本罪と詐欺罪との併合罪になるとされています。
そのため、この条文は単独で理解するのではなく、他の犯罪との関係の中で位置づけることが重要です。
2-4:加重類型:身代金目的略取等罪(225条の2)
刑法225条の2は、以下のとおり規定しています。
「近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じてその財物を交付させる目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、無期又は三年以上の拘禁刑に処する。」
「人を略取し又は誘拐した者が近親者その他略取され又は誘拐された者の安否を憂慮する者の憂慮に乗じて、その財物を交付させ、又はこれを要求する行為をしたときも、前項と同様とする。」
この規定は、人質を取り、その解放と引き換えに金銭その他の利益を要求する行為を処罰するものであり、特徴としては、被害者の自由を奪うだけでなく、近親者等の財産にも極めて重大な危険を及ぼす点にあります。
実際に、身代金目的の誘拐事件では、被害者が殺害されるケースも少なくありません。
そのため、刑法はこの類型に対して特に重い刑罰を定めています。
また、この罪が成立するためには、単に拐取行為があっただけでなく、身代金を要求する意思と行為が結びついていることが必要です。
3章:成立要件の入門解説―構成要件を4段階で理解する
略取・誘拐罪を理解するためには、構成要件を体系的に整理し、事案に即して当てはめる力を養うことが必要です。
また、被害者の意思や行為者の故意をどのように認定するかということも問われます。
そこで有効なのが、構成要件を「行為・客体・故意・目的」という4つの要素に分解して理解する方法です。
この章では、具体的な事例を通じて、これらを紹介します。
3-1:行為・客体・故意・目的の4要素
まず、略取・誘拐罪の成立要件は、大きく4つの要素に分解することができます。
それが、以下の4要素です。
- 行為
- 客体
- 故意
- 目的
この4要素を一つずつ丁寧に確認することが、正確な当てはめの出発点となります。
まず「行為」についてですが、ここで問題となるのは、被害者を自己または第三者の支配下に移す行為があったかどうかです。
既に1章で確認したとおり、拐取罪の本質は「支配関係の移転」にあります。
そのため、単に接触したり同行したりしただけでは足りず、被害者が行為者の影響下に置かれ、自由に離脱できない状態に至っていることが必要です。
次に「客体」については、条文によって異なります。
刑法224条では未成年者が対象となりますが、刑法225条では、未成年者に限らず、より広い範囲の者が含まれます。
このように、どの条文が適用されるかによって客体の範囲が変わるため、事案に応じて、正確に条文を選択し当てはめる作業が重要になります。
「故意」については、被害者を支配下に置くという認識と意思が必要です。
ここで注意すべきは、単なる接触や同行の意思では足りず、「支配関係を形成する」という認識が必要である点です。
また、刑法224条の場合には、被害者が未成年だと知らなかった場合は、故意がないので未成年者略取・誘拐罪は成立しません。
もっとも、ここでいう故意がないとは、「単に知らなかった」というだけでは足りず、「合理的な根拠に基づいて、未成年であることを認識していなかった」と判断できる場合に限られます。
実際には、相手の容姿や言動、年齢確認の有無や行為前後の事情など総合的に考慮したうえで、本当に故意がなかったのかが判断されることになります。
最後に「目的」についてですが、これは主に刑法225条以降で問題となります。
営利目的やわいせつ目的など、特定の目的が存在する場合には、犯罪の成立範囲や刑の重さに影響を与えます。
目的は主観的要素であるため、行為の態様や前後の事情から推認する必要があります。
このように、4要素に分解して考えることで、複雑に見える拐取罪の構成要件も、論理的に整理することが可能です。
3-2:被拐取者の同意がある場合の処理
略取・誘拐罪の中でも特に重要な論点が、「被拐取者の同意がある場合の処理」です。
まず原則として、被害者の自由な意思に基づく同意がある場合には、その自由を侵害したとはいえないため、犯罪の成立が否定されることが一般的です。
しかし、略取・誘拐罪においては、この原則がそのまま当てはまらない場合があります。
特に問題となるのが、未成年者の場合です。
未成年者は判断能力が未成熟であるため、その同意が真に自由な意思に基づくものといえるかが問題となります。
また、単に未成年者の同意があるかどうかだけでなく、実質的に保護者の監督権を侵害しているかどうか(保護者の同意があるか)という観点からも判断します。
例えば、未成年者が自らの意思で家出をし、それに他人が同行した場合であっても、その行為が保護者の監護権を侵害するものであれば、拐取罪の成立が認められる可能性があります。
このように、たとえ未成年者の同意があったとしても、保護法益として保護者の監護権を侵害しており、監護権者の同意がない場合には、拐取罪が成立し得るということになります。
また、成人の場合であっても、欺罔によって同意が形成された場合には、その同意は真の意味で自由な意思に基づくものとはいえません。
このような場合には誘拐として評価されることになります。
このように拐取罪では「被拐取者だけの同意で足りるのか」「自由な意思に基づく同意といえるのか」という視点を持つことが重要です。
3-3:親権者による未成年者略取の判例を理解する
略取・誘拐罪の理解を深めるためには、判例の考え方を押さえることが不可欠です。
特に重要なのが、親権者による未成年者の連れ去りに関する判例(最決平成17年12月6日)です。
この判例は、母が監護していた2歳の男児を、別居中の父(親権者)が保育園から帰宅する途中で、抱きかかえて車に乗せて連れ去った事案です。
この事案について、最高裁は、まず、有形力を用いて連れ去り、保護されている環境から引き離して自分の事実的支配下に置いたのであるから、その行為が未成年者略取罪の構成要件に該当することは明らかだとしました。
その上で、親権者の1人であることは、その行為の違法性が例外的に阻却されるかどうかの判断において考慮されるべき事情であるとしました。
そして、違法性を阻却する事情となるかについては、本件事案においては、離婚係争中の他方親権者の下から奪取して自分の手元に置こうとしたものであって、そのような行動に出ることにつき、子の監護養育上それが現に必要とされるような特段の事情は認められないから、その行為は、親権者によるものであるとしても、正当なものということはできないと評価しました。
さらに、本件の行為態様が粗暴で強引なものであることや対象となる未成年者が自分の生活環境についての判断・選択の能力が備わっていない2歳の幼児であること、その年齢上、常時監護養育が必要とされるのに略取後の監護養育について確たる見通しがあったとも認め難いことなどを踏まえ、家族間における行為として社会通念上許容され得る枠内にとどまるものと評価できないと判断しました。
そのため当該事案に関しては、違法性が阻却されるべき事情は認められないとして、未成年者略取罪の成立を認めました。
あくまで具体的な事情を踏まえた上での判断ですが、親権者による未成年者誘拐罪の違法性が阻却される事情を判断する上で極めて重要な判例です。
このように判例の考え方を理解することで、略取・誘拐罪が単なる形式的な犯罪ではなく、実質的な人間関係や生活状況を踏まえて判断されるものであることが分かります。
4章:予備試験合格者が実践する略取・誘拐罪の勉強法
略取・誘拐罪は、条文で規定されている用語が似ているため、初学者にとっては混乱しやすい分野かもしれません。
しかし、逆にいえば、正しい学習手順を踏めば短期間で得点源にすることができる分野でもあります。
特に予備試験では、基本的な理解を前提としつつも、条文構造や判例の理解を踏まえた答案作成能力が求められるため、単なる暗記ではなく、体系的な理解と再現性のある思考プロセスを身につけることが重要になります。
そこで、この章では、実際に合格者が実践している学習方法をもとに、略取・誘拐罪を効率的にマスターするための具体的なアプローチを紹介します。
この章で紹介する方法は、この分野に限らず刑法各論全体に応用できるものであり、学習効率を大きく高めることにつながります。
4-1:条文→判例→答案例の3ステップ学習法
まず、最も重要なのは、「条文→判例→答案例」という三段階の学習を徹底することです。
最初のステップである条文の理解では、単に文章を読むだけではなく、「どの要素が構成要件なのか」「どの部分が他の条文と違うのか」を意識して読み込むことが必要です。
この段階で曖昧な理解のまま進んでしまうと、その後の学習すべてに影響が出てしまいます。
次に判例の理解に進みますが、ここでは結論を覚えるのではなく、「なぜそのように判断されたのか」という理由を重視することが重要です。
例えば、略取・誘拐罪の判例は、被害者の同意や監護権の侵害といった微妙な問題を扱うものが多く、事案ごとの具体的な事情を踏まえて判断されています。
そのため、判例の事実関係と判断枠組みをセットで理解することが不可欠です。
そして最後に答案例の学習に進みます。
ここでは、自分が学んだ条文と判例の知識をどのように文章として表現するかが問われます。
予備試験では、「知っている」だけでは得点にならず、「正確に表現できる(書ける)」ことが求められるため、答案の型を身につけることが重要です。
この3ステップを繰り返すことで、知識が単なる暗記にとどまらず、実際に使える形で定着していきます。
4-2:ヨビロンで効率よく刑法各論を習得する方法
刑法各論は範囲が広く、条文や判例も多いため、独学で進める場合にはどうしても効率が悪くなりがちです。
特に略取・誘拐罪のように、用語や構造が複雑な分野では、誤った理解のまま進んでしまうリスクもあります。
そこで有効なのが、体系的に整理された教材を活用することです。
例えば、ヨビロンのテキストのように、条文・判例・論点が一体的に整理されている教材を用いることで、学習上の無駄を大きく減らすことができます。
重要なのは、単に教材を読むのではなく、「なぜこの順番で説明されているのか」「どの論点が試験で重要なのか」を意識しながら学習することです。
優れた教材は、試験で問われるポイントを前提に構成されているため、その流れに沿って学習することで、自然と得点力が身につきます。
また、効率的な学習のためには、インプットとアウトプットのバランスも重要です。
条文や判例を理解したら、必ず簡単な事例問題に当てはめてみることで、自分の理解がどの程度正確なのかを確認することができます。
このプロセスを繰り返すことで、知識が実践的な力へと変わっていきます。
さらに、略取・誘拐罪は他の犯罪類型との関係で問われることも多いため、単独で覚えるのではなく、逮捕・監禁罪や強盗罪との違いを意識しながら学習することが重要です。
このような横断的な理解ができるようになると、予備試験の論文試験においても説得力のある答案を書くことができるようになります。
まとめ:略取・誘拐罪の入門は「用語整理→条文→要件→判例」の順で攻略
略取・誘拐罪は、一見すると用語が多く複雑に感じられる分野ですが、その本質は「人を支配下に置く行為」をどのように評価するかという点に集約されます。
この本質を理解したうえで、用語の整理から条文構造の把握、さらに構成要件の分解と判例の理解へと段階的に学習を進めることで、確実に得点源へと変えていくことができます。
特に重要なのは、略取と誘拐の違いを単なる言葉の違いとしてではなく、「手段の違い」と「支配関係の移転」という観点から理解することです。
この視点を持つことで、どのような事案であってもぶれずに判断することができるようになります。
また、未成年者の同意や親権者による連れ去りといった論点は、単純な知識問題ではなく、価値判断を伴う問題であるため、判例の考え方をしっかりと理解しておくことが不可欠です。
これにより、論文試験においても説得力のある答案を作成することが可能になります。
さらに、学習方法としては、条文・判例・答案例を一体として理解することが重要であり、この3つを結びつけることで初めて実践的な力が身につきます。
ヨビロンのような効率的な教材を活用しながら、繰り返しアウトプットを行うことで、知識を確実に定着させることができます。
略取・誘拐罪は、刑法各論の中でも応用力が問われる分野の一つですが、正しい手順で学習すれば短期間で大きく伸ばすことができる分野でもあります。
本記事の内容をもとに、ぜひ体系的な理解を深めてください。
この記事では、初学者の方にもわかりやすいように、一般的な考え方をざっくりと解説しました。
判例などの詳細な解説や、実践的な答案の書き方を知りたい方は、ヨビロン刑法のテキストをご購入いただけると幸いです。


LINE特典動画では、私が提唱する「解法パターン」とその活用方法の一端をお見せします。
動画①では、「判例の射程とは何か」を予備試験の過去問を題材にしながら分かりやすく解説します。この解説を聞いた受講生からは「判例の射程の考え方・書き方がようやくわかった!」との言葉をいただいております。
動画②では、試験開始前に見ることで事案分析の精度が格段にあがるルーズリーフ一枚に収まる目的手段審査パターンまとめです。
動画③では、どの予備校講師も解説をぼやかしている生存権の解法を明確にお渡しします。
そして、動画④では③の生存権の解法パターンを使って、難問と言われた司法試験の憲法の過去問の解説をします。
是非、解説動画を受け取って、世界を変えてください。